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Infinite Justice  作者: 32F°大佐
第1章 "Si Vis Pacem, Para Bellum"
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第十一話 "Reines Blut"

さて、すみれさんですが、

裁判で裁こうにも、非はこちらにある。

刑務所、拘置所に置いておくにも暴走されたら困る。

連合軍でも同じ。


結局拾ってしまったものは拾ったものが面倒を見ろと。


戦闘には12歳の少女は出せない。

...ということで俺の雑用となった。


俺よりもはるかに仕事ができる。

これは楽できるんじゃね?と考えた俺が馬鹿だった。アイバーにもっと仕事増やされた。

「高橋軍曹!電話ですよぉ!」

ほら、すみれの声だ。

「わかった!こっちにつないでくれ!もしもし?」

「こちらストーナーだ。至急指令室まで来てくれ。」

また元帥に呼ばれた...駆け足で移動する。


「高橋龍河、ただいま参りました!」

「よく来てくれた。ECS(感情変換システム)のことは知っているよな?」

ECS....すみれの体に埋め込んであるあの強力なパワーを実現させる機械か...オレにはそれほどのものでしかなかった。

「第一次種族間戦争の激戦地、京都。人間には当時妖怪に核兵器でしか対抗できなかったことは言うまでもない(Only a way to defeat enemies was to use nuke weapons.)...。魔法使い、妖怪双方の種族が恐れた兵器だったがな...京都だけで何十発の核兵器が使われたといわれている。皮肉なものだよ、人類を滅ぼすとまで言われた兵器が人類を結果的に守ったのだから。まあ、余談はどうでも良い。君は今すぐ京都郊外にいき、ECS拡散砲を京都に撃つのだ。」


俺は黙った。まだこの言葉にこめられた引導がわかっていなかった。


「少し待ってください!?なぜ京都にECSを撃たなければならないのですか!?」

わけがわからなかった。ECSは致死率99.9%といわれている。つまり、京都を跡形もなく吹き飛ばすということだ。

「京都にテレポしてきた妖怪軍が攻めてきた。敵兵の数は...20万だ。」

「では、こちらも軍で向かい撃てば...」

「その肝心の軍が壊滅した。これ以上軍に損害を与えるわけにはいかない。市民の生存者は...5%未満だよ。たった6時間のあいだにな。」

5%未満・・・大丈夫なのか?

「では、なぜ私でなければならないのですか?他の人でも...」

「君の銃、AUGUSTAだ。それとECS拡散補助機をドッキングさせて発射するのだ。それ以上は望まん。VTOL(ヘリコプターみたいに垂直に着陸できる飛行機)に全て必要なものは乗せてある。障害となるものは...誰であろうと排除しろ。健闘を祈る。」


 混乱していたが、上官の命令だ。拒否するわけにはいかない。とにかくVTOLを離陸させ、目的地へ向かった。しかし、心底後悔していた。罪のない人々を殺してもよいのか。任務の目的ではじめて迷った瞬間だった。


 京都郊外に着く。自動でVTOLが着陸する。近くの高地にのぼり、京都を見渡す。確かにあちこちから煙が上がっている。おれには停戦協定の崩壊の兆しが見えて仕方がなかった。

「午後3時40分、作戦を開始します。」

 

 そう本部に連絡した。AUGUSTAと拡散砲をドッキングさせる。射撃体勢、つまり匍匐する。驚くほどスムーズにはめ込めた。引き金は...ついていない。この銃の引き金を引けというのか。引き金に指を添える。しかし、ここで迷いが生じた。罪のない人々を殺しても良いのか?いや、これは元帥の命令だ。でも、しかし…

「まだか、おそいぞ。」

本部から注意の声が来た。もうこうなったらやけくそだ。重い引き金を引いた。視界全てが白い閃光に包まれる。目がやられて、視界が奪われる。


視界を確保した時、無意識に呟いていた。


「うそだろ...?」

京都がなくなっていた。地面しかない。人も建物も、破壊したというよりは消し飛ばしたという言葉のほうが似合うだろう。無意識に手が震えている。取り返しのつかないことをしてしまった。おれがただただ呆然と座り込んでいるそのときだった。

「ちっ、遅かったか。坊主!なんてことをした!連合軍め!」

そういって黒服の男がオレの胸ぐらをつかんで、おれのでこに彼のAUGUSTAを突きつけてきた。ブラックか。俺は殺されることも覚悟した。いやむしろ殺されたほうが良いかもしれない。俺は大量殺人者だ。

「殺すんならさっさと殺してくれ。」

何もかも投げやりで言った。そのときだった。一発の銃声が鳴る。どうやら足元に着弾したようだ。ブラックはオレを放し、銃を構えた。

「その子をさっさと渡しなさい。」


鞭を構えたいかにもとげとげしい女が立っていた。

「渡せるわけないだろう?こいつがいなかったら、こっちも困るんだ。どうせこいつを始末する気だろう?」

ブラックと女の会話にこめられた意味が全くわからなかった。

「穢れた血は、始末しなきゃねえ。」

「ずっとほざいてろ。何が穢れた血だ。」

そういってブラックはまさかりの反対側にランスが付いたものを召還して女にとびかかる。おんなは鞭を剣に変え、ランスをさばいていた。

「さっさとにげろ。殺されるぞ!」

予想外のことを言われた。俺は戸惑っていて動けなかった。

「早くしろ!俺の言ったことがわからんのか!」

おれは飛び跳ねるようにVTOLに乗り、本部に戻った...

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