奥の手は最初に使っても強い
拍手小話No.41
リビダを虐めたいシリーズ その1
朝食準備中のリコリスの耳に、仲のよい友人同士の会話が飛び込んできた。
「やぁ、ライカ。遊びにきたよ~」
「帰れ」
「ふふふ、いいねぇその反応。相変わらず、虐めてほしくて仕方ないって顔してくれちゃって。ライカってばそんなに僕が好きかい?」
「もう殺していいですか。いいですよね。よし、殺す」
……殺し合うほど仲のよい友人同士の会話だ。
(はぁ、もー仕方ないなぁ)
野菜を切っていた包丁を置き、軽く手を拭ってから、リコリスは剣戟音の響き始めた家の外を目指す。
扉の前に立つと、開ける前に一呼吸。
慌てて飛び出して、短剣の餌食になるのは避けたいところだ。
「ライカ~? リビダ~?」
声をかけながら扉を押す。
臨戦態勢はバッチリだ。
「リコさん、出てこないでくださいっ。すぐに始末をつけますから!」
「やぁ、リコリス! もしかして寂しくなっちゃったのかな? いいよ、僕は3人でもっ」
全く正反対の声が飛んできて、リコリスは苦笑して首を横に振った。
「ごめんね、今忙しいから」
あっさり言って、腕を前に差し出す。
その先に捧げ持たれたのは、
「え」
「蝙蝠様に遊んでもらって?」
――満面の笑みの蝙蝠ポーチ。
蝙蝠ポーチを腰に戻して、リコリスは相棒を仰ぎ見る。
「用意がまだ途中なんだ。手伝ってくれる?」
「……ええ、もちろん」
定位置に戻った蝙蝠が「げふっ」と鳴いた。




