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ヴェルデドラードの日常  作者: 雨根
ウィード犬のための躾教室
31/74

塩分控えめ(※犬)

拍手小話No.12

本編26話の真ん中あたり




※注意 『ウィード犬のための躾教室』 を読むにあたって


『ウィード犬のための躾教室』、通称『ウィード虐待シリーズ』は、通称通り露骨な虐待描写がございます。

自業自得を基盤にした、陰険かつ陰惨な苛めのシーンが面白おかしく、またそれによって変わっていくウィードが描かれるシリーズです。

ウィードの過去の所業、態度から自業自得である、と割り切ることができない方は絶対にお読みにならないでください。

当シリーズにはタイトルに(※犬)と付けられております。

この注意書きを読み飛ばした方からの苦情にはお答えできませんのでご了承くださいませ。

また、実際の犬には優しく接してくださいますようお願い申し上げます。

 不本意ながらずるずると地を這って逃げるしかなかった。

 ああ、不本意だ。屈辱だ。

 だが、逃げねば待っているのは更なる地獄なのだ。


「ダメよぉ。ちゃんとご飯食べないと~」


 堕落の魔女が、背後で笑う。

 口調に反して素早く伸びてきた手が私の首を掴み、その部分の皮を勢いよく引き寄せた。


「ギャンッ」


 地味に痛いわ! やめんか!!

 口をついた文句は、犬の悲鳴になった。くっ。


「あらぁ? 痛かったかしらぁ。ごめんねぇ」


 欠片も悪いとは思っていないだろう、貴様っ!


 噛み付いてやりたいが………………って、待て。

 噛み、付く? 噛み付くだと?


 ――犬か、私はっ!!


 自分の思考が信じられない……。

 まさか、このまま完全な犬畜生に成り下がってしまうのではあるまいなっ。

 あの童顔根性悪女め、何という呪いを――、


「キャインッ」


 痛っ!


 どこからか飛んできたナイフが、私の鼻を掠めた。痛い。

 食卓の椅子に座っている赤い髪の悪魔が、こちらを睨んでいる。

 あの男、見ていると他人に対して興味がない様子だが、童が……あ、あの女のことになると過剰反応するのだ。

 ふん。男として見られていないくせに ――、


「ギャインッ!」


 い、痛っ!!


 気がついたら目の前にいた悪魔が、私の鼻面を思い切り蹴飛ばした。

 くっ、何なのだ。この私が全く目で追えない動きは。

 何より、何故考えていることが分かる?!


「もぅ、バカな子ねぇ」


 魔女が、満足に抵抗もできない私の頭を抱き寄せる。

 何か柔らかいものが、私の後頭部に触れて――、



  ……ひぃぃぃぃ。



「キューン、キューン」


 は、離せ! 離してくれ!!


「はっ。屑が」


 情けない声が勝手に漏れる私を、悪魔が蔑んだ目で見下ろした。

 待て。それは何か? 私がこの状況を喜んでいるとでもいうのか?!

 ふ、ふざけるな!

 我々、ソレイユ教の神官は女との接触を禁じているのだぞ!

 触りたいと思ったこともないわっ!

 そ、それを、それをこんな……っ!


「かぁわいぃ~」


 くすくすと魔女が笑う――否、哂う。

 相変わらず、その……それを私の頭に押し付けたまま。


「さぁ、好き嫌いせずに、ご飯を食べましょうねぇ?」


 そして無理やり口をこじ開けられ、ぎゅうぎゅうと詰め込まれたのは、正体不明の肉と、若干の野菜の混ざり合ったものだった。火は通っているが、味はない。

 素材の味が生きているといえば聞こえはいいが、野菜はともかく、肉が壊滅的に不味かった。


 何の肉だ?!

 食えるか、こんなものーっ!!


 そう思って力の限り暴れ――……私は軒先に吊るされることになるのだった……。

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