モザイクプリーズ
拍手小話No.19
本編29話の後 チェスナット視点
「ふあぁぁ」
――午前5時。俺起床。
隣で雑魚寝のファーとウィロウを足でつついて起こして、俺らは師匠の牧場へ向かう。
昨日あんなことがあったからなぁ。
師匠とライカリスさん、仲直りできてっかなぁ。
そんなことを考えながら、牧場へついた俺たちを出迎えたのは――。
「ああ、おはようございます」
世にも珍しく俺たちに笑顔で挨拶をくれたライカリスさんと、その腕の中に抱え込まれて藻掻いている師匠だった。
「ちょ、ホントにいい加減降ろしてっ。ライカ!」
「あはは。嫌です」
『………………』
ええぇぇ……。
何がどうなってこうなったんだ……?
立ち尽くす俺たちに、ライカリスさんが流し目をくれた。
いつも通り冷ややかではあるが、それでも機嫌がいいと一目で分かる。
「ぼーっとしてないで、早く作業に入ってください」
「作業の前に助けて! こいつ何とかしてーっ」
無理です。
師匠命令にしても、可能なヤツを頼みます。
こんなの邪魔したら、俺たち全員墓場逝きッスよ……。
「へぇ? そんなこと言うんですね。私以外の人間に助けを求めるなんて、いい度胸です」
「黙れ加害者! ――く、クイーン……っ」
その瞬間のライカリスさんの顔といったら……もう、まさに魔王降臨? って感じだった。
に~っと楽しそうに笑って、師匠の顔を覗き込む。
ちょ、顔近いなっ。
うわあああっ、もう見てられん……っ。
目を覆った俺だが、残念。音がしっかりと耳に入ってくるんだな!
しまったっ、耳を塞ぐべきだった!
「いいんですか? 私には攻撃できないんでしょう……?」
「いや、もう、今ならできる気がするんだけどっ」
「……ふぅん。そうですか」
ライカリスさんの声のトーンが下がる。
……で、
「――えい」
「~~~~っ?!」
師匠の声にならない悲鳴が聞こえた気がした。
え、何? 何したんスか、ライカリスさん?!
うおおおおっ、想像するな! 考えるんじゃねぇよ俺ぇ!
その時、目を瞑り、耳を塞いで硬直する俺の肩を誰かがつついた。
師匠たちの方を見ないようにちょっとだけ目を開けると、何か、悟ったみたいな顔をしたウィロウが、俺の肩を掴む。
くいっと畑の方を顎で示され、俺も悟った。
ああ、いい考えだ。
俺たちは頷きあって、そろりそろりと移動を開始した。
その時、うっかり視界に入ってしまった2人は……ぎゃっ。
――うぅ、立体物にモザイクってどうやって貼ればいいんだ……?




