綺麗な人ほどうまい言葉にはまらないこともある。
第11章 綺麗な人
僕は疑いたかった。ここまできれいなひとは、初めてだった。
にこやかな笑顔に、澄んだ瞳、じょーだんとは思えないほど長く美しい髪の毛
に真っ赤なリボンが印象的な女性だった。
「占いますにゃ。なにかございますかな?」
「実は・・・」と綺麗な人は切り出した。
「愛している人への思いが、私の心を削っていくのです。」
「それは、何故かな?続けてくださいにゃ」
「心をかき乱してまで愛したい男の声が聞こえてきては、私の心を暗い思いにする。
それは、きっとその男の本心からくる思い。悲痛ではないが、何か心を鬼にして、
嘆いているような感じで・・・。」
「今なお、続いていますかにゃ?」
「はい、はっきりとはわかりませんが。感じるのです。その男はいばらの道を歩む覚悟
でいます。しかし、私目にはその理由がわからないのです。」
「きっと、あなたの才女としての才能に埋もれかかっているでは?と疑ってみては
どうかにゃん。」
「私になにかあるとでもいいたいのですか?なにも、ありませんよ!」
「きしくも、あなたの見かけをみると、とても、美しく見える。それは
天からの恵みに思える、一つの才能ではないのですかニャ?」
「では、私の見栄えが彼をくるしめているのですか?」
「一種のアンバランスな心の通い方しかできない苦しみに聞こえるですニャ。」
「たとえ、かなわぬとわかっていても、おいかけてしまうものと思い募らせると
どうしても、感情がゆすり起こされてしまいがちです。その一面に形が見えると
膨らんだ何かしらに見えます。」
「私には期待としか言いようがないですニャ」
「それに勝る私がいないのは、きっと不憫に思う事のできない自分のせいでしょうか?」
「ありとあらゆる選択肢があなたをくるしめているのではにゃいですか?」
「といいますと?」
「とりもなおさず、その男に感ずる不謹慎なおこがましさを恥じるべきですニャ。
ずるい、卑怯ともいえる感傷的な駆け引きで、ひとを不安にさせてしまう。
その答えの先っぽに疑いがあるニャよ。」
「だからこそ、その中身に入ってくるわけない話の根底にさえ及ぶ、言及として、
静かに心を形に変えて、こだわりの聖域みたいな、久しい親友のような心の慈愛
にも、棘としてなんかしらの悶え苦しみからの解放感にあたえるべく接してみては
いかがかと思うニャ。」
はたと気づいた女は思わずニヤリとして考えを変えた。
際どい気持ちの触れ方に感傷的になれない自分でいいとさえ思えた。
それを垣間見たネコの占いに実感がわくのには、しばらくの時間が手間と
して必要かと思えたのだった。




