表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/123

第二部28話── 白い少女は“誰かを探している”。公国図書院が隠す影**

【焚き火跡──白い少女の出現】


 三人の前に現れたのは、

 月明かりの色をそのまま髪に落としたような少女だった。以前見た白い少女とは、年齢が違う。でも…


 白いローブ。

 素足。

 森に似つかわしくないほど静かな足取り。


 ソフィアは警戒したまま杖に手を添える。


「……あなた、誰?」


 少女はかすかに首を傾げた。


「……“誰”……ですか。」


 声は淡く澄んでいるが、

 どこか抑揚がずれていた。


タク:「夜の森で何してるんだ?道に迷ったのか?」


 少女はタクをじっと見つめる。


「……探しているのです。

 “白石”の──」


 その言葉に、タクの心臓が跳ねた。


(白石……?)


ソフィアがすかさず一歩前に出る。


「どうして白石を?」


「……“呼ばれた” から。」


「呼ばれた?」


「……ええ。

 あの黒い“影”が……

 わたしに触れて……

 “白石を探せ” と。」


三人:

「…………」


(黒い影が……?)


(屍人に接触したのか……?)


(それって……普通、生きてないはず……)


 キャスの尻尾が不安に揺れる。


「お兄ちゃん……この子……大丈夫……?」


タクは少女を観察する。


(……息はある。脈もある。

 でも、“理”が……ほとんど感じられない……?

 まるで……空っぽみたいだ)


 


──────────────────────────────


【少女が取り出した“木札”】


 少女は胸元から小さな木札を取り出した。


 薄く、白く、

 かすかな光の粒が浮かぶ古い札。


「……これを……届けなければ。

 白石へ……辿り着くまで……わたしは……」


 ソフィアが青ざめる。


「タク……それ……!」


「……ああ。

 “光の木札”だ。」


キャスが息を飲む。


「お兄ちゃん……

 あれって……巨大樹の……?」


「間違いねぇ。

 公国に五つあると言われる光の木札……

 一つはこの少女が持ってる。」


 


──────────────────────────────


【少女の“空白”】


 タクが優しく問いかける。


「お前……名前は?」


「……わかりません。」


「わからない?」


「……気づいたら森にいて……

 影に触れられ……

 それだけ。」


ソフィアが眉を寄せる。


「ちょっと待って。

 屍人に“触れられて”生きてる時点で異常よ?

 普通なら闇に落ちるか……精神壊れるわ。」


少女は首を横に振る。


「闇は……わたしの中に入りませんでした。

 ただ……寒かっただけ。」


(寒い……?

 闇を拒否した……?

 それって……どういう……)


タクがさらに確認する。


「じゃあ……どうして俺たちの前に?」


「……“近い” と感じたから。」


「何がだ?」


「……あなたの“理”。

 とても……懐かしい。」


 タクは息を止めた。


(懐かしい……?

 この子……白石家を知ってるのか?

 でも……年齢は……15くらいに見える……

 なのに言葉遣いが……)


 


──────────────────────────────


【ソフィアが思い出す“図書院の文”】


 ソフィアは小声でタクに囁く。


「……タク……

 キャスと別行動の時、

 図書院で読んだ一文……覚えてる?」


タク:「“闇に触れても壊れない者が稀にいる”……

    あれか?」


「そう。

 “光の器” と呼ばれる存在。」


(光の器……

 光属性が異常に強く……

 闇への耐性が極めて高い……

 屍人の“触れ”にも堕ちない……)


 少女の薄い瞳が、タクの瞳の色をそっと映す。


「……あなた……

 白石の……“におい” がする……」


 ソフィアとキャスの目が一斉に見開く。


(におい……!?

 理を“におい”で感じ取ってる……?

 そんな芸当、普通はできない……)


 


──────────────────────────────


【突如として少女が倒れる】


 少女の膝がふらりと揺れた。


「っ……!」


 タクが抱き止める。


「おい!どうした!」


「……すみません……

 わたし……“器”が……揺れて……」


ソフィアが即座に手を当てる。


「理が……不安定……!

 この子……今まで“影”に触れ続けて……

 限界まで頑張ってたんだ……!」


キャスも慌ててタクの袖を掴む。


「お兄ちゃん!助けてあげよ!!」


タクは迷わず頷く。


「もちろんだ。

 助ける。絶対に。」


 


──────────────────────────────


【ソフィアの提案──公国中央図書院へ】


「タク、この子……

 今のままじゃ危険よ。

 光属性が強すぎて、器が割れかけてる。」


「じゃあどうすりゃいいんだ……?」


「公国中央図書院。

 あそこなら“光の器”についての記録がある。」


「行くしかねぇな……!」


キャス:「お兄ちゃん、この子……連れて行こ!」


 タクは少女を優しく背負い、

 立ち上がった。


少女はかすかに囁いた。


「……白石……やっと……見つけた……」


タク:「……俺は白石だけど……

    お前の探してる“何者”なんだ?」


少女:「……まだ……思い出せません……

    でも……あなたに会わなきゃ……

    いけなかった…… 気がする……」


 タクの胸が強く脈打つ。


(この子は……何を知ってる……?

 そして……なぜ俺を探した……?)


 


──────────────────────────────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ