第二部20話── 三人の次の一手。噂と過去が繋がり始める**
【翌朝──野営地】
鳥の声が森に響く。
昨夜はほとんど眠れていなかったが、
タクは静かに体を起こした。
(黒石清九郎盛隆……
あれが“黒石の初代”……
次会ったら、絶対に殺される。)
握った拳に、微かな震えが残っている。
そこへ──
「タク、起きた?」
朝日を背に、ソフィアが立っていた。
表情は柔らかいが、目は鋭い。
「昨日の戦闘……“全部”話しなさい。」
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【戦闘分析──ソフィアは容赦ない】
タク「……如水の双斬、三断が弾かれた。
水刃が霧散して……まるで“当たらなかった”みたいで……」
ソフィア「予想通りね。」
キャス「えっ……予想通りなの……?」
ソフィア「黒石初代は“理の変換”が得意なの。
こちらの攻撃の“性質そのもの”を、
闇の理でねじ曲げて“勝手に別方向へ流す”のよ。」
タク「だから斬撃が弾かれたのか……」
ソフィア「そう。
タクの水の理は“流れ”だから、変換されやすいの。」
タク「……相性最悪じゃねぇか。」
ソフィアは微笑む。
「でも弱点もある。」
タクとキャスが同時に顔を上げる。
ソフィア「闇の理は“理を持つ者の意思”に敏感なの。
だから……タク、あなたが理を深めれば“必ず通る”。」
タク「そういうもんか……」
ソフィア「そういうもんなのよ。」
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【キャスの告白──怖さと決意】
キャスは膝を抱えて座り、ぽつりと呟いた。
「……あの人……怖かった。」
タク「キャス……」
「でも……私、逃げたくない。
お兄ちゃんも、お姉ちゃんもいるから。」
ソフィアがキャスの頭を抱き寄せる。
「いい子ね。でも無理はしないのよ?」
「うん……!
でもね……あの黒い人から……
お兄ちゃんの匂いがした……」
タク「俺の……?」
キャス「うん。
なんか……白石の匂いと、似てた。」
ソフィア「……理の血筋は、闇でも残るからね。」
キャス「だから……悲しかった……」
(……キャス……
そんな感覚まで持ってたのか。)
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【そして──“次の目的地”】
ソフィアは腰のポーチから一枚の紙を取り出した。
「さて、タク。
これから向かうべき場所、分かってるわね?」
「……中央都市か?」
ソフィアは頷く。
「ええ。
屍人に関する正式な記録は、
“公国中央図書院” にしかないの。」
タク「つまり……」
ソフィア「黒石初代を倒すための“手がかり”がある。」
キャス「いこ!!お兄ちゃん!!」
タク「……よし。」
三人の視線が同じ方向を向く。
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【そして──騎士団も動き始める】
その頃。
公国中央都市の騎士団本部。
赤い鎧をまとった団長グランド・クロスは
副団長からの報告を受けていた。
「団長。
“黒い人影の報告”が、公国各地で増えています。」
「……そうか。」
「さらに……複数の目撃者が
“白髪の少年” と “猫耳の少女”
“光の魔術師” の三人を同時に見たと。」
グランドは目を閉じ、息を整える。
「また、あの三人か。」
「……どうなさいますか?」
グランドは静かに、しかしはっきりと告げた。
「タク・シライとキャス、そしてソフィア。
彼らが黒い影と戦っているなら──
我ら騎士団は無関係ではいられまい。」
「つまり……?」
「中央都市に“呼ぶ”。
そして、正式に話を聞く。」
グランドの瞳には迷いがなかった。
「黒石初代……
ならば、我々の力も必要になる。」
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【三人の旅路は再び動き出す】
野営を片付け、三人は歩き出す。
キャス「お兄ちゃん、次はどんな街かな?」
タク「中央都市はでかいらしいぞ。
飯もうまいといいな。」
ソフィア「もちろん美味しいわよ♪
でもまずは“図書院”ね。」
タク「分かってるって。」
風が三人の髪を揺らす。
(黒石初代……
もう一度戦う時は必ず来る。
そのために──強くならなきゃならねぇ。)
こうして──
タク・シライ、ソフィア、キャスは
屍人の真実を求め 公国中央都市へ向かった。
物語はついに“核心”へと進み始める。




