第二部17話── タクとキャス、二人で“適度な依頼”。 ソフィア不在の不安と、迫る気配。
【公国・朝のギルド前】
翌日。
宿から出たタクとキャスは、
自然と手をつないだままギルドへ向かっていた。
キャスはふにゃっとした顔で言う。
「……ねぇお兄ちゃん。
ソフィアお姉ちゃん、本当に夕方に帰るのかな……?」
「帰るよ。あいつはそういう女だ。」
「むぅ……そうだけど……」
キャスは耳をしょんぼり倒した。
(……ほんとはすげぇ不安なんだよな)
タクはそっとキャスの頭を軽く撫でる。
「大丈夫だ。
あいつは……俺より強いぞ?」
「……うん……」
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【公国ギルド──依頼選び】
「おや、タク・シライさん。
今日はソフィアさんはご一緒じゃないんですか?」
「えぇ、ちょっと用事で。」
受付嬢は微笑んだ。
「では……これなんてどうです?
“盗賊もどきの掃討(Bランク)”。」
「Bか。キャス、行けそうか?」
キャスはきゅっと拳を握った。
「お兄ちゃんと一緒なら……行ける!!」
「よし、決まりだ。」
受付嬢「仲が良くて羨ましいです……」
「いやそんな……!」
キャスはタクの腕にくっつきながら、
「えへへ……タク兄ちゃん私のだもん……」
「だから独占欲を前に出すな!!」
受付嬢
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【森の手前──軽い緊張】
依頼先は、公国から少し離れた林の奥。
「盗賊っていっても、D〜Cあたりの弱いやつばっかりらしい。
気を抜かなければ問題ねぇよ。」
「うん!!
お兄ちゃんの邪魔にならないように頑張る……!」
「邪魔じゃねぇよ、キャスは強い。」
「……ほんと?」
「ほんとだ。」
キャスの顔がふにゃっと緩んだ。
(キャス……こういう時の顔、反則なんだよな)
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【盗賊もどきの巣──戦闘開始】
「いたぞ!あれが冒険者か!」
「くっそ、やるしかねぇ!」
雑な武器で突っ込んでくる盗賊もどき。
タク「キャス、左二人頼む!」
キャス「まかせて!!」
キャスは一瞬で獣化の“前段”に入り、
風のように駆ける。
ザンッ! ザザッ!
「ひゃっ!? 速い!!」
「やりすぎるなよ!殺す必要はねぇ!」
「わかってるもん!!」
タクも右側へ滑り込み、
「如水──一式!!」
シュッ!!
盗賊「ぐっ……!」
相手の武器だけを的確に弾き飛ばす。
(前より……断然うまく動けてる)
キャスとタクの動きは、
まるで“呼吸”のようにかみ合っていた。
「残り二人!!」
「いっくよぉぉ!!」
キャスが跳び──
タクが踏み込み──
ザシュッ!
戦闘はあっという間に終わった。
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【依頼完了──二人の距離がまた縮まる】
縛り上げた盗賊を引き渡し、
三人……ではなく二人の帰路。
「お兄ちゃん……すごかった……」
「キャスもな。
お前、あの跳躍……前より速い。」
「ほんと!?
えへへ……褒められた……!」
キャスは尻尾をぶんぶん振って嬉しそうだ。
タクは少し照れて言う。
「……あのさ、キャス。」
「ん?」
「お前、ほんとに強くなってるよ。
ソフィアにも胸張って言えるくらいにな。」
「!!」
キャスの瞳がきらんっと光る。
「お兄ちゃん……!
もっと強くなるよ!!もっともっと!!」
(……やべ、なんか変に火がついた)
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【夕方──ソフィア、まだ戻らず】
宿に戻る。
空はオレンジ、
風は少し冷たい。
キャス「……お兄ちゃん。
ソフィアお姉ちゃん、まだ……?」
「……そうだな。」
タクも表情を引き締める。
「ソフィア……何を掴んでるんだ……?」
空気が少しだけ重くなる。
キャスがタクの袖をきゅっと握る。
「お兄ちゃん……大丈夫だよね……?」
「大丈夫だ。
信じて待とう。」
そう言った瞬間──
……ザワ……ッ……
公国の北側、暗い山脈の方から、
一瞬だけ“理の乱れ”のような気配が走った。
タク「……今の、気のせいか……?」
キャス「お兄ちゃん……なんかいやな感じ……」
夕暮れはゆっくり深く沈んでいく。




