第二部16話── ソフィア不在の一日。 タクとキャス、二人だけの“少し特別な時間”。
【公国・宿の朝──ソフィアがいない】
ソフィアは夜明け前に出発してしまった。
タクが目を覚ました時には、
テーブルに一枚の簡単なメモだけが残されていた。
『ちょっと用事。
夕方には戻るから死なないでね。
タク、キャスの面倒よろしく。 ソフィア』
「なんだよ面倒って……」
ぼやくタクの袖を、
その瞬間キャスがぎゅっと掴んだ。
「お兄ちゃん……
ソフィアお姉ちゃん、行っちゃった……?」
「ああ。でも夕方には戻るってさ。」
「……そっか。」
キャスはしょんぼりしながらも、
タクにぴったりくっついたまま離れない。
(……ソフィアいないと、キャスの甘え方すげぇな)
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【公国ギルド──依頼を選ぶ二人】
「今日どうする? キャス。」
「……お兄ちゃんが行くなら……行く。」
「よし、軽めの依頼にしよう。Aは危険だ。」
受付の女性がにっこりして言う。
「タク・シライさん?
今日はおひとりですか?」
「まぁ、そんな感じで……」
「ふふ、ではこれなんてどうです?
“薬草採取(B〜Cランク)”。
お二人なら楽勝ですよ。」
「……これにします。」
「タク兄ちゃん、がんばろね!」
「お、おう。」
(なんか……距離が近い)
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【公国郊外の森──依頼開始】
小さな森に入ると、鳥の声と木漏れ日が心地よい。
「この辺りに“月草”って薬草があるらしい。」
「……これ?」
キャスが見つけるのが異常に早かった。
「お前すごいな……!」
「ふふ……お兄ちゃんに褒められるの嬉しい……」
キャスは尻尾をふりながらタクに寄り添う。
(……まじで甘え方すげぇ)
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【休憩──耳飾りの再描写】
少し休むことにして、
川べりの倒木に座る。
タクが水を飲んでいると──
「ねぇお兄ちゃん。」
「ん?」
「耳飾り……まだ、つけてるよ?」
キャスが髪をかき分けて見せた。
タクが王国で渡した
“小さな銀色の耳飾り”が、
陽の光を受けてキラリと輝いた。
「似合ってるな。
……すげぇ大事にしてんだな。」
「だって……お兄ちゃんがくれたやつだもん。
宝物だよ?」
キャスの声は少し震えていて、
目はどこか嬉し恥ずかしそうだった。
「……そっか。」
「うん……そっ、か……」
二人の間に流れる空気が、
いつもより妙に静かで暖かい。
(キャス……こんな顔するんだ)
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【ちょっとしたハプニング】
その時──
ガサッ……
小型のイノシシ魔物が突っ込んでくる。
「キャス下がれ!!」
「うん!!」
タク「如水──水刀!!」
ザシュッ!!
一瞬で仕留めた。
「お兄ちゃん、すご……!!」
「このくらい余裕だ。」
「……やっぱりお兄ちゃん強い……好き……」
「おい、最後の余計だろ!!」
「へへ……」
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【依頼終了──ギルドへ】
二人で薬草を袋いっぱいに集め、
公国ギルドへ戻った。
「タク・シライさん、完了確認です♪
お疲れ様でした!」
「ありがとうございます。」
キャスがタクの腕にしがみつく。
「お兄ちゃん!依頼できたよ!!」
「おう。よく頑張ったな。」
「えへへへっ」
受付嬢
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【夕方──ソフィアはまだ帰らない】
宿へ戻ると、
空はオレンジ色に染まっていた。
「……お姉ちゃん、まだ来ないね……」
「ああ。
でもソフィアなら大丈夫だ。
“自分で行く”って言ったんだし。」
「……そっか。」
キャスは心配そうにタクの袖を握る。
「お兄ちゃん……
ソフィアお姉ちゃん、無事だよね……?」
「無事だ。
あいつは……強いからな。」
タクは空を見上げ、
ふっと息を吐いた。
(ソフィア……何か掴んで帰ってくるんだろうな)




