第二部14話── 公国での調査と、ソフィアの胸に芽生える“違和感”
【公国中心街──三人の“日常探索”】
黒の人と遭遇した翌日。
重い空気を払うように、三人は公国中心街へ向かった。
「ねぇお兄ちゃん、あれ見て!!
魚をその場で焼いてくれる!!」
「お? 香りがやべぇ……!」
「タク、もう食べる気?
昨日あんな怖い目に遭ったのに?」
「関係ねぇ。腹は減る。」
「……強いわね、そういうとこ。」
キャスは尻尾をふりふりさせながら、焼き魚串を受け取る。
「お姉ちゃんも食べよ?」
「……じゃあ一口だけ。」
(※最終的にソフィアが一番食べた)
──────────────────────────
【情報収集──黒の人の噂は“増えている”】
その後、三人は街角で小さな酒場や商店を回り、
黒の人の目撃情報を聞き歩いた。
だが──
「黒い影は……見た、かもしれない……」
「いや、気のせいかも……」
「ただの黒いローブの男じゃないのか?」
どこも“曖昧な噂”ばかり。
ソフィアは腕を組んだままつぶやく。
「……やっぱり。
屍人は、普通の人には“はっきり見えない”んだわ。」
タクが眉を寄せる。
「理が弱い者には、形が曖昧なのか……」
キャスが小さく震える。
「じゃあ……見える私たちが……変なの……?」
タクはキャスの頭を軽く押さえて言った。
「違ぇよ。
キャスはただ……強いんだ。」
「……ほんと?」
「ほんと。」
キャスは安心したように笑った。
──────────────────────────
【ソフィアの胸に“違和感”】
夕暮れの街並みを歩く途中、
ソフィアがふと立ち止まった。
「……タク。」
「どうした?」
「昨日から……心に引っかかってるものがあるの。」
ソフィアは空を見上げ、
「あの黒の人……
“闇”も感じたけど、それだけじゃなかったの。」
タク「……?」
「もっと深い、もっと古い……
“理が壊れる前の何か”みたいな感覚。」
キャス「お姉ちゃん……こわい……」
ソフィアは微笑んでキャスの頭を撫でる。
「大丈夫よ。
でもね──
この違和感の正体を知ってる人、ひとりだけいる。」
タクが息を呑む。
「……グラドか。」
「そう。
あのドワーフなら、分かる。」
──────────────────────────
【夜の酒場──三人の“息抜き”】
夕方、三人は公国ギルド横の酒場へ。
「タク! 今日は珍しく私が奢るわ!」
「マジか!?」
「昨日食べたパン全部、タクの財布からだったし。」
「お前……そういう細かい計算は早いんだよ。」
「いいから飲みなさい!」
キャスはジュースを抱えて大はしゃぎ。
「お兄ちゃん見て!!泡!!」
「それビールの泡だな。」
「お兄ちゃんの泡!!」
「俺の泡ってなんだよ!」
ソフィア「うるさい!!」
三人の笑い声が店に響き、
一瞬だけ昨日の恐怖を忘れられた。
──────────────────────────
【そして夜──ソフィアの決断】
宿に戻り、キャスが眠ったあと。
ソフィアは静かにタクに言った。
「……タク。」
「ん?」
「やっぱり、今のままじゃまずい。
“屍人は倒せない”んじゃなくて──
倒す方法を知らないだけ。」
タクは真剣に頷く。
「だから“明日”行きたいの。
森の奥へ。
グラド・スカーヴに。」
タクは即答した。
「行こう。
ソフィアの直感は……信じられる。」
ソフィアはわずかに目を丸くしたあと、微笑む。
「……なにそれ。
格好つけちゃって。」
「うるせぇよ。」
そして二人は眠るキャスを見やる。
「キャスは? 連れていくか?」
「もちろん。」
タクは静かに笑った。
「なら決まりだな。」
──────────────────────────
【翌朝──森への旅が始まる】
朝日とともに三人は馬車を降り、
深い森へ向かって歩き出す。
ここから──
ルーン職人グラド・スカーヴとの出会いが始まり、
第二部は次の段階へ突入する。
──────────────────────────




