第二部7話── テントの中、初めての“家族みたいな夜”**
【森の外れ──静かな小空間】
木々が少し開け、月光が落ちる静かな場所。
風も穏やかで、川の音だけが聞こえる。
「ここなら魔物も来ないわね。休憩しましょ。」
ソフィアが慣れた手つきで、
白銀のテントを魔力で展開する。
パッ……!
魔法で広がる布が空中で形を整え、
数秒で立派なテントになった。
「おいおい……反則だろそれ……」
「えへへ。エルフの特権よ?」
「ズルいな……」
「なんか言ったー?」
「いえなんでもありません!」
◆ ◆ ◆
【テントの中──暖かな灯り】
中は広く、木の香りが漂う。
ソファのような丸太クッションや、
魔石ランプが柔らかい光を灯していた。
キャスは毛布に包まり、
タクの隣にぴったりくっついて座っている。
「……あったかい……」
「無理すんなよ。まだ傷治したばかりだし。」
「うん……お兄ちゃんが、横にいるから……安心……」
ソフィアがじとーっとタクを見る。
「ねぇタク?いつから“お兄ちゃん”になったの?」
「知らねぇよ!? 気づいたらなってたんだよ!」
「ふーん……」
ソフィアはキャスの横に座り、
毛布を優しく整えてあげた。
「キャス、辛かったでしょう?」
「……うん……」
キャスは少しだけ俯き、
落ち着いた声で話し始めた。
◆ ◆ ◆
【キャスの話──失った仲間】
「あのね……私たち、
“地竜討伐” の依頼を受けて……
この先の山岳地帯に来たの……」
「地竜……?」
「結構危険な魔物よ?」
ソフィアが眉をひそめる。
「うん……でも報酬が良くて……
仲間もみんな、頑張ろうって……」
キャスの小さな手が震える。
「でも……強かった……
仲間が……みんな、死んじゃって……
……最後のお兄ちゃんも……」
「…………」
タクはキャスの手を包む。
「そこから、1人で逃げて……
そしたらさっきの魔物に囲まれて……
気づいたら、暗くて……
寒くて……
でも……」
キャスはタクの胸元に顔を寄せた。
「お兄ちゃんの声がして……
手……あったかくて……
夢だと思った……」
「……夢じゃねえよ。」
タクはゆっくりキャスの頭を撫でる。
「もう大丈夫だ。
これからは俺たちと一緒だ。」
「うん……うん……」
◆ ◆ ◆
【空気を変えるソフィア】
キャスの涙を見て、
ソフィアはそっと手を伸ばし、耳を撫でた。
「キャス。
あなた、見た目よりずっと強いわ。
よく生き残ったじゃない。」
「ソフィアお姉ちゃん……」
「うん、よく言えたね♪」
ソフィアは表情をふわっと緩める。
「だから今日はもう泣いていいの。
明日からは、私たちが守るから。」
キャスはソフィアにも抱きつき、
二人に挟まれたタクは
なんとも言えない表情になった。
「おいソフィア。
なんか俺だけ壁になってね?」
「私とキャスの“クッション係”だから。」
「役職できてるじゃねーか!!」
「似合ってるわよ?タク兄ちゃん♪」
「キャスまで!!?」
テントは笑い声で満たされた。
◆ ◆ ◆
【夜は更け──新たな旅の展開へ】
その夜。
キャスはタクの腕を抱え、
離さないまま眠りについた。
ソフィアはそれを見て苦笑いしつつ、
ランプに布をかけて光を弱める。
「……タク。」
「ん?」
「キャス……守ろうね。」
「ああ。
どんな敵でも。」
二人の会話は静かに溶けていき、
森の夜に溶けて消えた。
こうして──
三人の“家族のような旅”が、本格的に始まった。
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ん?わたしはソフィアなんだけど。
最近色々思うことがあるのよね。
みんなわかるわよね。♡




