第二部1話── ソフィアの隠れ家と、うるさすぎる看護**
やっと第二部本編突入です。
物語の核心に迫っていきます。
知らない天井だった。
拓海はゆっくりと目を開け、
白木の天井と、ほのかな薬草の香りに気づく。
「起きたねー。おはよ」
軽すぎる声。
振り向くと、
椅子に足を組んで座る エルフの少女・ソフィア が、
頬杖をつきながら覗き込んでいた。
「……ここ……は?」
「私のお家。ていうか隠れ家?
あんた死にかけてたから拾ってきたのよ?」
「…………」
(言い方ァ……)
「まぁまぁ。命は助かったんだし?
ほら、ほめてくれてもいいのよ?」
「……ありがとうございます」
「ふーん?
“助けてくれてありがとうございます、お姉様” じゃなくて?」
「…………え?」
「言ってくれたら、もうちょっと手厚く看病してあげるのに〜?」
(このエルフ……地味に性格やばくない?)
拓海が黙って睨むと、
ソフィアは「ちっ」と小さく舌打ちした。
「まあいっか。もう動けるでしょ?
身体?全部直してあげたんだから」
「足……動く……」
「そりゃそうよ。再生したんだから」
(軽い。言い方が軽すぎる……)
◆ ◆ ◆
【エルフの隠れ家】
拓海は上半身を起こし、
部屋を見回す。
丸太で組まれた壁。
乾燥薬草が束ねられ、
窓から柔らかい光が差し込む。
家というより、
森そのものの一部のような場所だった。
……暖かい。
「で?どうするの?」
「……どうするって?」
「討伐報告よ、討伐報告。
あんた、ギルドに行かないと証明にならないでしょ?」
「あっ……」
完全に忘れていた。
双頭の大蛇は倒した。
でも、証拠もない。
報告しなければ、
あの地獄の戦いは誰にも認められない。
「……行く」
「はいはーい。じゃ、行こっか」
「え?一緒に来るの?」
「当然。あんた、死んだら困るし?」
「そんな理由?」
「あと、懸賞金は折半でしょ」
「…………え?」
「だって助けたの私だし?」
「……いや、倒したの俺……」
「はいはい、行くよー」
ソフィアは拓海の腕を掴み、
強引に外へ連れ出した。
◆ ◆ ◆
【冒険者ギルド──討伐報告】
「え……と……双頭の大蛇を……討伐……?」
「はいっ♡この子がね〜?」
ギルド職員は信じられないという顔で固まった。
ギルド内の空気がざわつく。
「双頭の……まさか……本当に……!?」
「証拠は……現場が……」
「行ってみます!
すぐ確認隊を送ります!」
職員が慌ただしく走り去り、
ギルド中がざわざわと騒ぎ始めた。
ソフィアは満足そうに腕を組む。
「ほら、やっぱ私のおかげじゃん」
「…………」
(いや絶対この人、俺をからかって楽しんでる……)
「というわけで拓海くん?
懸賞金は折半ね?」
「……はい」
「良い返事♡」
◆ ◆ ◆
【突然の知らせ──国王謁見】
ギルドに戻ると、
職員が息を切らして駆け込んできた。
「た……拓海殿!!
今すぐ王城へ!!」
「え?な……なんで?」
「双頭の大蛇──
討伐が正式に確認されました!!
あなたは王国の英雄です!!
国王陛下が、ぜひ会いたいと!!」
「……は?」
拓海の頭が真っ白になる。
そして──
「名前をお伺いします!!」
「た、たく……み・し……ら……」
「言いにくそー!」
横からソフィアが割り込んだ。
「この子、“タク・シライ”でいいじゃん」
「……は?」
「ほらその方が発音しやすいでしょ?
はい!あんた今日から “タク・シライ” ね」
「いや決めるの早い!!」
「登録します!『タク・シライ殿』!!」
「聞けよ!!??」
ギルドはなぜか拍手している。
(なんで……俺の名前……勝手に外人仕様に……)
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