第59話── 総力戦。片頭を討ち、そして倒れる**
赤い頭を残した大蛇は、
怒りと狂気のまま一直線に突進してきた。
もはや二段攻撃はない。
だが──
それでも十分速い。
「来いよ……
まだ……終わってねぇ……!!」
拓海は片足で踏ん張り、刀を構える。
(読める……
単調になった分だけ……
動きの線が“はっきり見える”!!)
◆ ◆ ◆
突進を“水刃三断”で迎え撃つ
赤い頭が迫る。
蛇道を描きながらの高速突撃。
「水刃三断──ッ!!」
シュバッ!!
バシュッ!!
ズバァッ!!
三段の流れる斬撃が、
赤い頭の動きを“外へ逃がす”。
「まだだ……!!」
大蛇の側面がわずかに開く。
(これだ……
この一瞬に……!!)
◆ ◆ ◆
雷刃震撃──“止め”の準備
拓海は刀に雷の気を集める。
「雷刃震撃──!!」
バチィィィィッ!!
刀身に圧縮された雷が、
刃先に集中し始める。
(相性最悪の相手だ……
腐敗系相手には雷は効きにくい……
だけど……!!
“硬直”を作ることはできる!!)
赤い頭が方向転換しながら
再び噛みつこうと迫る。
(止めろ……止まれ……!!)
ズガァァン!!!
斬撃は大蛇の側頭部に炸裂し、
動きを一瞬だけ止めた。
「……止まった……!!
今だ……ッ!!」
◆ ◆ ◆
大水一閃──残った片頭へ
拓海は再び気を刀へ注ぎ込む。
濁流のような流れ。
大河が氾濫する一瞬。
(最後だ……
これで終わらせる!!)
「大水一閃ッッ──!!!!」
ズオオオオオオオオオッ!!!!
濁流が奔り、
大蛇の首を襲った。
ドシュッ!!!!!
巨大な赤い首が根元から断ち切られ、
地面へ崩れ落ちる。
◆ ◆ ◆
勝利──しかし、もはや立てない
首を失った巨体は震えながら痙攣し、
やがて完全に動かなくなった。
拓海は刀を杖のようにして立ち尽くした。
「はぁ……
はぁ……
勝った……」
血の匂いが強烈だ。
視界が揺れる。
気が薄れていく。
(足も……
止血したとはいえ……
もう……限界だ……)
片足で立っていた身体が、
ゆっくりと傾いた。
「……ガイル……
……みんな……
終わった……よ……」
そのまま──
拓海は前のめりに倒れた。
雪解けの湿った土が、
彼の頬を静かに受け止めた。
意識が闇に落ちていく。




