第56話── “殺意の連撃”。初めて見えた活路**
双頭の大蛇が地面を割る勢いで跳びかかってきた。
ズガァァァァァ!!!
黒い頭は咬み砕く軌道で迫り、
赤い頭は腐敗息を吐き出す体勢に入っていた。
(ダメだ……!!
両方来る!!
避けられない……!!)
拓海の喉が乾く。
脇腹の痛みが一気に広がる。
(……でも……避けないと……死ぬ!!)
◆ ◆ ◆
迅雷空歩──しかし完全には避けきれない
「迅雷空歩──ッ!!」
バシュッ!!
拓海の身体が地面すれすれで滑る。
黒い頭の牙を紙一重でかわす。
だが──
ガッ!!
大蛇の長い胴が鞭のようにしなり、
拓海の脚を打ち飛ばした。
「ぐっ……!!」
地面を転がり、肺から息が漏れる。
(速い……!!
“本気の連撃”は……
迅雷空歩でもかわしきれない……!!)
◆ ◆ ◆
追撃──赤い頭の腐敗息
赤い頭が口を開く。
ゴォォォォ……
瘴気が集まり、
空気が黒く歪む。
(やばい……!!
動け……!!)
身体がまだ痛みで痺れている。
立ち上がる余裕がない。
(避けられない……!!
だったら──)
◆ ◆ ◆
“水の静”が閃いた
拓海は瞬時に判断した。
(水は硬いものに効かない……
でも、“流れ”なら……!!)
刀にそっと気を流し、
身体の軸をわずかに傾ける。
「水刀鋭斬……!」
振り下ろすのではない。
防ぐのでもない。
“流れの方向を変える”ための一閃。
スッ……!
腐敗息の“大気の流れ”がわずかに逸れ、
拓海の頭上を通り過ぎた。
(……よけた……!?
いや……“ずらした”……!!)
息が荒くなる。
(たった一滴でも流れが変われば……
水の技は“道”を作る……)
突破口が、一瞬だけ見えた。
◆ ◆ ◆
しかし──黒い頭の二撃目
安堵する暇は一秒もない。
黒い頭が地を滑り、
稲妻のように横から迫る。
「っ!!」
拓海は刀を横に構えた。
(避けられない!!
だったら──“受け流す”!!)
「水刀鋭斬!!」
キィィィン!!
斬撃が流れるように蛇の牙をいなし、
軌道を外へ逸らした。
大蛇の顔が横へ流れ、
その巨体が木に激突する。
(──できた……!!
受け流した……!!)
ほんの数メートルの差だった。
◆ ◆ ◆
わずかな手応え
(まだ……やれる……!!
静と動……
水と雷……
両方を使わないと……勝てない!!)
双頭の大蛇が体勢を立て直し、
こちらへゆっくりと向き直る。
二つの頭が、再び拓海を睨む。
(次は……
もっと速く……
もっと激しく来る……!!)
だが拓海は、もう逃げなかった。
(ここで……倒す!!
皆んなの仇を……
必ず取る!!)
刀を構え、地を蹴る。
決戦の幕が、ついに上がる。




