第47話── 退院不能。仲間が待つ森へ走る。**
翌朝。
病室の窓から差し込む光は眩しかった。
拓海はまだ点滴台につながれたまま、
時計を見て固まった。
「……やばい。
本当に、時間がない……!!」
蒼狼隊との約束の日──
今日だった。
(もう……動かなきゃ……!
間に合わない……!!)
ベッドからゆっくり起き上がり、
腕の点滴を見下ろす。
(動ける……
大丈夫だ……!)
◆ ◆ ◆
「勝手に退院します」
扉の外を通る看護師の足音がした。
拓海は急いで点滴のチューブを外す。
「ちょっと、何して──」
看護師が入ってくるより早く、
拓海は深く頭を下げた。
「すみません!
看護師さん、ありがとうございました!
……勝手に退院します!!」
「は!?ちょっと待ちなさい!!」
看護師が駆け寄るが──
その前で拓海は“針を抜いた跡”に気を集中させた。
スッ……
皮膚が瞬時に閉じ、跡が消える。
「えっ……!?
ちょっとあなた、何それ──!!」
(ごめん!
でも……もう行かなきゃ……!!)
病院着のまま、拓海は窓へ向かった。
◆ ◆ ◆
三階の窓──迷いなしの跳躍
「拓海!!
ま、待ちなさいってば!!」
看護師が叫ぶ。
(止められたら……終わりだ……!)
拓海は窓を開け、
冷たい冬の風を浴びた。
「……行く!!」
ドンッ!!
三階から飛び出す。
空気の抵抗を最小にする
“雷歩法の応用”で着地の衝撃を逃がす。
スッ……!
静かに膝を曲げ、
雪の積もった庭へ着地した。
(……よし……!
まだ動ける……!!)
◆ ◆ ◆
「お母さん、ごめん」
病院の敷地を抜け、
拓海は道場へ向かって走り出した。
雪に足を取られながらも、
身体は嘘みたいに軽い。
(お母さん……ごめん……
心配かけたけど……)
胸の奥が痛む。
(でも……
仲間が……待ってるんだ……!!)
ガイルの真剣な目。
ニーナの震える声。
ソウロウタイの誰もが拓海を求めていた。
(約束を守らないなんて……
そんなの俺じゃない……!!)
息が白く散り、
雪空の下、拓海は走り続けた。
◆ ◆ ◆
道場へ──最後の準備
白石家の門が見えた瞬間、
拓海の胸が高鳴る。
(大水一閃……
迅雷空歩……
雷刃震撃……)
全部仕上げた。
全部間に合わせた。
(あとは……行くだけだ……!!)
拓海は道場の戸を乱暴に開いた。
その目に宿る光は、
少年のものではなく──
仲間を救うために走る“武人”の光だった。




