第29話 理の覚醒と、決着の一閃
魔紋獣の巨大な爪が
拓海の視界いっぱいに広がった。
ガアアアアアア!!
(やばい……!!
避けられない……!!)
拓海は刀を横に構えたが──
(……無理だ!!)
その瞬間。
◆ ◆ ◆
──“線”が世界を覆った
拓海の視界に、
これまで見たこともない“量”の線が溢れ出す。
未来の流れ。
攻撃の角度。
大地の揺れ。
空気の動き。
全てが“線”になり、
世界に幾重にも重なった。
(……なに、これ……
頭が……じゃなくて……
世界が……見えてる……!?)
爪の軌道が線となり、
その横に“避けられる道”の線が見える。
(ここ……!!)
◆ ◆ ◆
拓海、理の覚醒──“理眼”
身体が勝手に動いた。
スッ……!!
爪が紙一重で拓海の横を通り過ぎる。
(避けれた……!!
これが……本当の……理の力……!)
拓海の瞳は、
まるで“線を映す鏡”のように輝いていた。
「拓海!!」
ガイルの声が届く。
(大丈夫……見えてる……
全部……見えてる……!!)
◆ ◆ ◆
蒼狼隊、最後の総力戦
「今しかねぇ!!」
ガイルが吠える。
「ヴォルク!!右!!
リーナ!!援護射撃!!」
「うおおおお!!」
「はい!!」
【ヴォルク】
盾で魔紋獣の足を押し上げ、体勢を崩させる。
【リーナ】
“火炎強射”を三連で放つ。
バシュッバシュッバシュッ!!!
炎が魔紋獣の動きをさらに鈍らせた。
「ガイルさん!!今です!!」
リーナが叫ぶ。
「任せろォ!!」
ガイルは大剣を構え、
“山断ち”・改
──雷走!!
ドガァァァァァン!!!
大地を割る一撃が、
魔紋獣の左肩を完全に吹き飛ばす。
「ギィアアアアア!!!」
(今だ……!!
隙が……見える……!
線が……そこに集まってる……!!)
◆ ◆ ◆
拓海、決めろ──如水流奥義・流刃 連星
拓海は刀を構える。
(気を……流す……
川のように……
水のように……)
視界の線が一点に集まる。
(ここが……
“流れの終着点”……!!)
「うおおおおお!!!!!」
如水流奥義──
流刃・連星!!
二連の斬光が
魔紋獣の胸の“黒い眼”を縦横に切り裂いた。
シャアアアアアッ!!!
「ギャアアアアアアアアアアッ!!!!!」
黒い眼に亀裂が走る。
ピシ……ピシ……ッ
(いけ……割れろ……!!)
パリンッ!!
黒い眼が粉々に砕けた。
◆ ◆ ◆
魔紋獣、崩壊
魔紋獣は最後の咆哮を上げ、
グガァァァァァ……
……ア……ア……
その身体を支えきれずに崩れた。
黒い紋は静かに剥がれ落ち、
魔力となって霧散する。
「……終わった……?」
リーナが息を呑む。
「……ああ。
これは……完全な消滅だ」
ガイルが肩で息をしながら答える。
ヴォルクは痛む脇腹を押さえながら笑った。
「マジで……死ぬかと思った……」
(倒した……
倒せた……!!)
拓海は刀を握る手が震えているのに気づく。
(怖かった……
本当に怖かった……
けど……俺……やれた……!!)
ガイルが拓海の肩を掴む。
「拓海。
お前、もう…ただの新人じゃねぇ」
リーナも微笑む。
「すごいです……拓海さん」
ヴォルクが尻尾をゆるく振った。
「お前がいなきゃ……俺たち死んでたな」
拓海は涙をこぼしそうになりながら笑った。
(俺……この世界で……生きていける……!!)




