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第23話 影と対峙、初めての殺気

 森の奥。

 青黒い影が、こちらをじっと見ていた。


 その存在は、

ただ立っているだけなのに──


空気がひりつくほどの“殺気” を放っていた。


(やばい……動くな……

 あれ……絶対ヤバいやつ……)


 拓海の呼吸が浅くなる。

 だが、気を流すと身体が少し軽くなった。


「拓海、後ろへ下がれ」

ガイルの声が低い。


「リーナ、距離を取れ。ヴォルクは前へ」


 三人は一瞬で戦闘陣形に入った。


(すごい……迷いがない……

 これが“冒険者”……)


 影は、ゆっくりと動いた。


 


     ◆ ◆ ◆


──見えてしまう、“流れの線”


 その瞬間、

拓海の視界に 線 が走った。


 影の動く方向。

 爪の角度。

 次に踏む地の位置。


(あれ……まただ……)


 まるで“影の未来”が透けて見える。


 拓海は思わず声を上げた。


「ガイルさん!

 そいつ、右に──!」


ズシャッ!!


 影がそのタイミングで右に跳んだ。


 ガイルの目が開かれる。


「新入り……見えてんのか……?」


「わ、分かりません!

 でも……“流れ”が……!」


「よし!指示を続けろ!!」


 ガイルが叫ぶ。


(指示……!?

 俺が……!?)


 影は低く唸り、身を伏せた。


 


     ◆ ◆ ◆


影の正体──“黒紋猪こくもんちょ


 暗がりから姿を現したそれは──

イノシシを狂暴にしたような魔獣。


 ただし、


身体の一部に“黒い紋様”がうねっている。


「……黒紋猪か……」

ヴォルクの声が低くなる。


「ねぇよな……普通森の入口まで来ねぇぞ……!」


「黒紋……?」

拓海が呟く。


「魔力汚染で体が黒く染まった魔獣です。

 凶暴性が段違いなんです……!」

リーナが弓を構える。


 


     ◆ ◆ ◆


初戦闘──圧倒的な速度


「来るぞ!」


ドッ!!


 黒紋猪が地面を蹴り、

一直線にガイルへ突っ込んだ。


「どけっ、獣!!」


ガァン!!!


 大剣と牙が激突し、火花が散る。


「重てぇな……!!」


 ガイルの足が少し押される。


(やば……

 ガイルさんでも押されてる……!?)


「拓海!奴の動きを読め!!」

ガイルが叫ぶ。


「はい!!」


 拓海は線を見る。

 黒紋猪の腰の向き……

 爪の振り上げる角度……

 地面の重心移動……


見える……!


「ガイルさん、次左!!」


ガッ!!


 ガイルが先に動き、

猪の突進を紙一重で回避した。


(すごい……!!

 俺の声に合わせて動いた……!)


 ヴォルクが横から盾を叩きつける。


「おらぁっ!!」


ドゴォ!!


 黒紋猪がよろける。


「今です!!」

リーナが矢を放つ。


バシュッ!!


 矢が魔獣の肩に刺さる。


(みんな……強い……!!)


 


     ◆ ◆ ◆


拓海が“流心”を使う時


(俺も……やれる……!

 昨日みたいに……!)


 拓海は刀を握りしめる。


(気を流して……

 理の線を掴む……)


 黒紋猪がこちらへ視線を向けた。


ギロッ……!!


(や……ば……

 殺気が……全身に刺さる……!)


 だが、線は見える。


 そして──

線は“流れろ”と言っていた。


(……いける!!)


 拓海は前へ踏み出した。


「拓海!?前に出るな!!」

ガイルが叫ぶ。


「大丈夫です!!

 読めてる……!!」


如水流斬──流心りゅうしん!!


シャァッ!!


 拓海の身体は“水のように”滑り込み、

黒紋猪の肩を浅く斬り裂いた。


「グガァァ!!」


(斬れた……!?

 本当に……俺でも……通じた……!)


 


     ◆ ◆ ◆


蒼狼隊の連携で仕留める


 黒紋猪が体勢を崩した瞬間──


「終いだ!!」


ガイルの大剣が真上から振り下ろされ──


ズドン!!


 黒紋猪は地面へ崩れ落ちた。


 


     ◆ ◆ ◆


静寂と、震える心


 静かになった森の中で──

拓海の手が震えていた。


(……斬った……

 本当に、魔獣を……)


 ガイルが近づく。


「拓海……

 お前……今ので、正式に“冒険者”だ」


「え……」


「お前の目は本物だ。

 理とか言ってたが……

 理由はどうあれ、“戦える”目だ」


 ヴォルクも笑う。


「初戦で黒紋猪に傷つける新人なんか、普通いねぇよ」


 リーナが静かに言った。


「拓海さん……

 あなたが見ているもの……

 それは多分……この世界とは違う“何か”です。

 でも……それはきっと、あなたを強くする」


 拓海は刀を握りしめた。


(俺……やれる……

 まだ怖いけど……

 でも、ちゃんと戦えた……)


(もっと……強くなりたい……)


 


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