第22話 森へ、調査任務の第一歩
翌朝。
異世界の空は薄い青で、雲がゆっくりと流れていた。
拓海は早めに異世界の道場へ入り、
刀を帯びて庭へ出る。
(今日から本格的な任務……
昨日みたいに“見える”かどうか……)
胸の奥がじんわり熱い。
緊張と期待が混ざった、不思議な感覚。
そこへ──
「おーい、新入り!!」
ガイルの豪快な声が響いた。
蒼狼隊の三人が揃って立っている。
⸻
ガイル
背中の大剣が朝日で光る。
荒々しいが、仲間を守る“柱”のような存在。
リーナ
森の風のような静けさをまとい、
目線だけで周囲を読み取る。
ヴォルク
盾を肩に乗せ、尻尾をゆらりと揺らす。
獣人の鋭い感覚が頼もしさを増す。
⸻
「お前、もう刀持ってるな。やる気十分だ」
ガイルが笑う。
「昨日の動き……良かったですよ」
リーナが柔らかく微笑む。
「死ぬなよ?」
ヴォルクは相変わらず雑な励まし。
「縁起でもないよ!!」
三人が笑った。
◆ ◆ ◆
ギルド前──緊急任務扱い
ギルドに到着すると、
すでに何組もの冒険者が集まっていた。
職員が慌ただしく指示を出している。
「森の南側から魔獣が複数逃げてきています!
住民の避難誘導班は西へ!
討伐ではなく“調査最優先”です!」
(……やっぱり、昨日のは異常だったんだ)
受付の女性がガイルたちに話しかけた。
「蒼狼隊、よろしくお願いします。
森の奥……“何か”がいます。
詳しくはまだ分かりませんが……気をつけて」
「任せろ」
ガイルが短く返す。
「白石さん、昨日は本当にありがとうございました」
受付の女性が拓海にも頭を下げた。
「い、いえ……俺は何も……」
(もっと強くなりたい……
昨日感じた“線”……ちゃんと使えるだろうか)
◆ ◆ ◆
森の入口へ──空気が変わる
街を出て、森へ向かう一本道を進む。
昨日よりも空気が冷たい。
鳥の鳴き声が少ない。
「……気配、薄いな」
ヴォルクが鼻を鳴らした。
「生き物が、森の奥へ引いています」
リーナが地面を見る。
「ヤベェ時の森は静かなんだよ」
ガイルが低く言う。
(ヤベェ……って……
本当にそんなレベルのものがいるのか?)
◆ ◆ ◆
森の入口──“死んだような静けさ”
森に入った瞬間──
空気が急に“重たく”なった。
(……え?
空気……変わった?)
胸の奥に圧がかかるような感覚。
「拓海、気を張って歩け」
ガイルが後ろから声をかけた。
「気……ですか?」
「ああ。気を身体に流しておけば、
いざという時の反応が速くなる」
(……昨日、理が動いた時の……あの感じ……)
拓海は刀に手を置き、
自分の中心に“気”を通す。
すると──
ザッ……
森の奥で、何かが動いた気配がした。
「止まれ」
ガイルが手を上げる。
ヴォルクが低く唸る。
「……いるな。
小物じゃねぇぞ」
リーナが耳を澄ませる。
「……呼吸音が二つ。
地を引きずるような……重い……」
(……呼吸?
でもこっちには何も聞こえない……)
その時──
拓海の視界に、ふっと“線”が浮かんだ。
(まただ……
昨日の……“未来の流れ”みたいなやつ……)
線が示す方向へ目をやると──
◆ ◆ ◆
──暗がりに、何かが立っている
枝と枝の隙間。
深い影の中。
“何か”がこっちを見ている。
輪郭がぼんやりしているのに、
存在だけははっきりと“重たい”。
(やば……い……
これは昨日のイノシシとは……違う)
「ガイルさん……!」
拓海が思わず声を出す。
ガイルが少し驚いた顔で振り向く。
「新入り、見えてんのか……?」
「なんか……線が……」
リーナが息を呑む。
「拓海さん……その“線”……」
「リーナ、後だ!」
ガイルが叫ぶ。
──影が、一歩、踏み出した。
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