表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/123

第22話 森へ、調査任務の第一歩

 翌朝。

 異世界の空は薄い青で、雲がゆっくりと流れていた。


 拓海は早めに異世界の道場へ入り、

刀を帯びて庭へ出る。


(今日から本格的な任務……

 昨日みたいに“見える”かどうか……)


 胸の奥がじんわり熱い。

 緊張と期待が混ざった、不思議な感覚。


 そこへ──


「おーい、新入り!!」


 ガイルの豪快な声が響いた。


 蒼狼隊の三人が揃って立っている。



ガイル


背中の大剣が朝日で光る。

荒々しいが、仲間を守る“柱”のような存在。


リーナ


森の風のような静けさをまとい、

目線だけで周囲を読み取る。


ヴォルク


盾を肩に乗せ、尻尾をゆらりと揺らす。

獣人の鋭い感覚が頼もしさを増す。



「お前、もう刀持ってるな。やる気十分だ」

ガイルが笑う。


「昨日の動き……良かったですよ」

リーナが柔らかく微笑む。


「死ぬなよ?」

ヴォルクは相変わらず雑な励まし。


「縁起でもないよ!!」


三人が笑った。


 


     ◆ ◆ ◆


ギルド前──緊急任務扱い


 ギルドに到着すると、

すでに何組もの冒険者が集まっていた。


 職員が慌ただしく指示を出している。


「森の南側から魔獣が複数逃げてきています!

 住民の避難誘導班は西へ!

 討伐ではなく“調査最優先”です!」


(……やっぱり、昨日のは異常だったんだ)


 受付の女性がガイルたちに話しかけた。


「蒼狼隊、よろしくお願いします。

 森の奥……“何か”がいます。

 詳しくはまだ分かりませんが……気をつけて」


「任せろ」

ガイルが短く返す。


「白石さん、昨日は本当にありがとうございました」

受付の女性が拓海にも頭を下げた。


「い、いえ……俺は何も……」


(もっと強くなりたい……

 昨日感じた“線”……ちゃんと使えるだろうか)


 


     ◆ ◆ ◆


森の入口へ──空気が変わる


 街を出て、森へ向かう一本道を進む。


 昨日よりも空気が冷たい。

鳥の鳴き声が少ない。


「……気配、薄いな」

ヴォルクが鼻を鳴らした。


「生き物が、森の奥へ引いています」

リーナが地面を見る。


「ヤベェ時の森は静かなんだよ」

ガイルが低く言う。


(ヤベェ……って……

 本当にそんなレベルのものがいるのか?)


 


     ◆ ◆ ◆


森の入口──“死んだような静けさ”


 森に入った瞬間──

空気が急に“重たく”なった。


(……え?

 空気……変わった?)


 胸の奥に圧がかかるような感覚。


「拓海、気を張って歩け」

ガイルが後ろから声をかけた。


「気……ですか?」


「ああ。気を身体に流しておけば、

 いざという時の反応が速くなる」


(……昨日、理が動いた時の……あの感じ……)


 拓海は刀に手を置き、

自分の中心に“気”を通す。


すると──


ザッ……


 森の奥で、何かが動いた気配がした。


「止まれ」

ガイルが手を上げる。


ヴォルクが低く唸る。


「……いるな。

 小物じゃねぇぞ」


リーナが耳を澄ませる。


「……呼吸音が二つ。

 地を引きずるような……重い……」


(……呼吸?

 でもこっちには何も聞こえない……)


 その時──


拓海の視界に、ふっと“線”が浮かんだ。


(まただ……

 昨日の……“未来の流れ”みたいなやつ……)


 線が示す方向へ目をやると──


 


     ◆ ◆ ◆


──暗がりに、何かが立っている


 枝と枝の隙間。

 深い影の中。


“何か”がこっちを見ている。


 輪郭がぼんやりしているのに、

 存在だけははっきりと“重たい”。


(やば……い……

 これは昨日のイノシシとは……違う)


「ガイルさん……!」

拓海が思わず声を出す。


ガイルが少し驚いた顔で振り向く。


「新入り、見えてんのか……?」


「なんか……線が……」


 リーナが息を呑む。


「拓海さん……その“線”……」


「リーナ、後だ!」

ガイルが叫ぶ。


──影が、一歩、踏み出した。

いつもありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ