第19話 初めての依頼、蒼狼隊と森へ
冒険者ギルドを出ると、
外の空気がいつもより少しだけ澄んで感じた。
(……俺、本当に冒険するのか……)
胸の奥がじわじわ熱くなる。
緊張もあるけど、それ以上にワクワクが大きかった。
「おーい、新入り!」
ガイルの太い声が聞こえた。
この世界の強者たち──
Bランク冒険者 蒼狼隊 が揃っていた。
⸻
ガイル
大剣を背負い、腕をぐるぐる回している。
明らかに“戦い慣れた男”の動き。
リーナ
ロングボウを背に、森の風のように静か。
エルフ独特の気配の薄さが周囲と溶けている。
ヴォルク
盾を肩に乗せ、尻尾が軽く揺れている。
獣人特有の気配察知力を持つ頼もしさ。
⸻
「よし、全員揃ったな」
ガイルが拓海に歩み寄った。
「今日は軽い依頼だ。
森の入口付近に 弱い魔獣が出た って報告があってな。
討伐というより確認任務だ」
「拓海さんは、後ろについて来るだけで大丈夫ですよ」
リーナが微笑む。
「前に出るなよ? 守るのは得意だが、死なれたら面倒だ」
ヴォルクが冗談めかして言う。
「ひど!?」
三人が笑った。
◆ ◆ ◆
街を抜け、森へ向かう
街の外へ出ると、
空気が一気に冷たく、澄んでいく。
川沿いの道を歩き、
森へ続く一本道へ入った。
(……この世界、やっぱり綺麗だな……)
森は濃い緑が生い茂り、
風が葉を揺らして優しい音を立てる。
「おい新入り、刀は抜ける状態にしておけよ」
「あ、はい!」
腰に下げた日本刀を軽く触れ、
拓海は深く頷いた。
(如水流斬……使えるかな……)
◆ ◆ ◆
森の入口──気配
森の入口でガイルが立ち止まった。
「……気配があるな。弱いが、近い」
「一体ですね。距離十数メートル先」
リーナが即答する。
「風上から血の匂い……小型魔獣だな」
ヴォルクの鼻がひくつく。
三人の情報が瞬時に揃った。
(かっけぇ……)
拓海は圧倒された。
これが“冒険者”か。
◆ ◆ ◆
初めて見る魔獣──森林イノシシ
「来るぞ!」
ガイルが構えた瞬間──
ガサッ!!
茂みをかき分け、小型の魔獣が飛び出した。
森林イノシシ。
牙がわずかに黒く光り、突進力が強い個体。
「拓海、下がれ!」
「は、はい!」
拓海は三歩下がり、刀に手をかける。
「ガイル!」
「ああ!」
イノシシがヴォルクへ向かって突進した瞬間──
ガインッ!!
ヴォルクの盾が音を立てて受け止めた。
「甘ぇよ!」
盾の横からガイルの大剣が振り下ろされ──
ドンッ!!
魔獣は一撃で倒れた。
(つ、強っ!?)
拓海は呆然とする。
◆ ◆ ◆
確認任務のはずが……
「……ガイル」
「おう、分かってる」
三人が魔獣の周囲を素早く確認していく。
「足跡が多い。ここ数日で……二十頭以上が通ってる」
リーナが地面に手を触れる。
「血の匂いが薄い……負傷した個体も混ざってるな」
ヴォルクが鼻を鳴らす。
「……依頼に書かれてた“弱い魔獣”の群れじゃねぇな。
別の何かに追われて逃げてきた可能性がある」
「……まずい状況ですね」
リーナが目を細めた。
◆ ◆ ◆
ガイルの判断
「帰るぞ!
これは軽い依頼の範囲を超えてる!」
三人の動きは無駄がない。
ガイルが拓海に視線を向ける。
「拓海、お前も走れ!」
「は、はい!!」
森を引き返しながら、
拓海は胸の奥に新しい感情を覚えた。
“怖い” だけじゃない。
仲間と動く一体感。
そして、自分も戦いたいという気持ち。
(……俺、もっと強くなりたい……!)
◆ ◆ ◆
街へ戻って
ギルドに戻ると、
ガイルが受付へ状況を報告した。
「弱い魔獣じゃねえ。
複数の個体が逃げてきてる……もっと上位の魔獣が動いてる」
受付の女性が深刻な表情になる。
「すぐ調査班を出します。
白石さんも……本当に、お疲れさまです」
「いえ……俺は何も……」
そう言いながらも、
拓海の心は燃えていた。
(でも……本当に何もできなかった……)
悔しさ。
もっと強くなりたい気持ち。
そして……ワクワクする期待。
「拓海!」
ガイルが肩を叩いた。
「初仕事にしちゃ上出来だ。
次はお前も少し戦わせてやるよ」
「……はい!!!」
初魔物体験でした。少しびっくりして動けなかったけど。次こそ!
いつも、お読み頂きありがとうございます。
完結までは長いですが、頑張りますので、
応援、よろしくお願いします。
ブクマ、評価あると嬉しいです。




