表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/123

第17話 初めての買い物と、異世界のごはん

 翌朝。

 異世界の空はやわらかい青色で晴れていた。


(よし……今日は買い物だ)


 昨日、如水流斬を覚えられた達成感もあって、

拓海の足取りは軽い。


 桜の苗木が小さく揺れ、

まるで「行ってこい」と背中を押すように見えた。


     ◆ ◆ ◆


市場の通りへ


 石畳の通りに入ると、

今日も活気ある声が響いていた。


「今日の果実だよー! 甘くてうまいよ!」

「焼きパン焼けたよー! 残りわずか!」

「荷馬車通るぞー! 気をつけな!」


(やっぱ……この街、いい雰囲気だよな)


 異世界なのに怖さはない。

 むしろ人の温かさが溢れている。


     ◆ ◆ ◆


パン屋での買い物


 昨日から気になっていたパン屋へ足を踏み入れる。


 香ばしい小麦と甘い香りが、ふわっと広がる。


「いらっしゃい!」


 元気なおばちゃんが笑顔で出迎えた。


 拓海は祖父の袋から銀貨を取り出し、


「あの……これで買えますか?」


「銀貨じゃないか! お客さん、太っ腹だねぇ!」


 手際よくパンを袋に詰めてくれた。


「また来な! 明日なら蜂蜜パンが出るよ!」


「絶対来ます!」


 袋越しの温かさが、胸の奥にも広がった。


     ◆ ◆ ◆


定食屋で、初めての異世界飯


 通りの一角、

湯気の立つ料理の匂いがする小さな食堂を見つけた。


(腹減ったし……入るか)


 木の扉を開けると、

ひげ面の店主が振り返る。


「いらっしゃい。空いてる席どうぞ」


 拓海は窓際に座った。


「昼定は、魚の煮込みか肉の香草焼き。どっちにする?」


「魚で!」


「はいよ!」


 待っている間、

外で働く人たちをぼんやり眺める。


(……こういう生活が、じいちゃんにもあったんだな)


 少し胸がきゅっとなった。


 そこへ──


湯気の立つ白身魚の煮込みが運ばれた。


「お待ち。魚の昼定だ」


「いただきます……」


 一口。


……うまっ!!


 知らない味なのに、どこか懐かしい。

 優しい出汁と香草の香りが広がる。


「これ……普通に店の味じゃん……」


 気づけば完食していた。


「昼定は 小銀貨1枚 ね」


(小銀貨1……1000円くらいか。

 意外と安いんだな……)


 拓海は祖父から受け継いだ金袋から、

銀貨1枚(5000円) を差し出した。


「これでお願いします」


「銀貨か! 助かるねぇ!」


 店主は慣れた手つきで銀貨を崩し、


小銀貨4枚 を皿に置いた。


「はい、お釣り 小銀貨4 な」


「ありがとうございます!」


(本当に……普通に買い物できるんだ……)


 小銀貨の光を見て、拓海は少し笑った。


     ◆ ◆ ◆


夕暮れ、家へ戻る


 異世界の家へ戻ると、

桜の苗木が夕日に照らされて白く光っていた。


「……これ、マジで暮らせるぞ」


 パンも買えた。

 美味い飯も食べた。

 技も覚えた。

 通貨の感覚もつかめてきた。


(やば……ちょっと楽しくなってきた……)


 異世界が“生活の場所”に変わり始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ