第二部50話── 公国、第二の災厄。黒炎が港を呑む**
黒死龍ベビーモスとの死闘を越えた四人は、
疲れの残る身体を押しながら森を抜けた。
夕日が沈む直前。
澄んだはずの空──しかし、その向こうに。
キャスが立ち止まる。
「……お兄ちゃん……
あれ……何……?」
公国の空。
南港の方向から 黒い炎柱 のようなものが立ち昇っていた。
ソフィアの顔色が変わる。
「違う……あれは光じゃない……“闇”よ……!」
悠真が歯を食いしばる。
「……初代だ。
霧谷で俺たちを足止めしつつ、同時に公国へ……
やる気満々だな……あの化け物。」
タクは無意識に刀へ手を添えた。
(……まだ俺たちを見てやがる……初代……)
「行くぞ、みんな!急ぐ!!」
「うん!!」
「了解!」
「任せろ。」
四人は公国へ駆け出した。
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【公国手前──逃げ惑う人々】
街へ近づくほど、焦げた匂いと悲鳴が増えていく。
兵士(倒れながら)
「タ……タク……シライ……殿……!」
タク「大丈夫か!?何があった!!」
兵士
「南港に……“黒炎獣”が……
黒い狼の化け物が……炎をまき散らして……
触れた者から……“腐る”……!」
ソフィア「腐敗系……!屍人とは別系統!」
悠真「初代……霧谷の影だけじゃなく、
完全に“魔獣”まで生み出し始めたか……!」
キャスは震えながらタクの袖を掴む。
「お兄ちゃん……あれ……ぜったいヤバい匂い……!」
タク「キャス、怖いなら後ろに──」
キャス「行く!!
……ぜったい……逃げない!!」
タクは小さく頷いた。
(……強くなったな、キャス……)
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【紅の騎士団詰所前──倒れた兵士と負傷者】
城門前には、紅の騎士団が多数倒れていた。
「団長が……南港を守って……
今は……応戦中で……!」
そこへ──
「来たか……白石……!」
炎のような赤外套をまとい、
片腕を布で巻いた グランド・クロス団長 が歩み寄る。
タク「団長!その腕……!」
団長
「大したことはない……黒炎獣の爪がかすっただけだ。」
ソフィア
「“かすって”その傷?冗談じゃないわね……」
悠真
「黒炎……触れただけで腐食が始まる。危険だな……」
団長は深い息を吐いた。
「霧谷を突破したと聞いた。
だがな……公国は今、“第二の災厄”に飲まれている。」
タク「第二の……?」
団長は指先で南港を指す。
「黒炎獣が群れで現れた。
屍人とは違う、“初代が作り上げた魔獣”だ。」
キャス
「お兄ちゃん……どうしよう……」
タク
「決まってる。行くしかねぇ。」
団長が4人を見る。
「……タク・シライ。赤石悠真。ソフィア・フラン。キャス。」
沈痛な顔のまま、しかし確かな声で告げた。
「──公国港を救う。
お前たち、力を貸してくれ。」
タク「もちろんです。」
悠真「行こう、タク。」
ソフィア「燃えてるわよ……私たち。」
キャス「うん!!」
団長は頷いた。
「よし。
紅の騎士団“特別協力戦力”として認める。
南港へ向かうぞ!!」
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【その瞬間──タクだけに、声が響く】
(…………白石よ…………)
タク「!!」
(弱い……弱すぎる。
この程度、わしの“遊び”に過ぎぬ……)
タク(初代……!遠くからでも……俺に声を……!?)
(光を宿した刀よ……
影はその分だけ濃くなる。
終焉の地で──待っておるぞ。)
タク「ッ……!」
ソフィア「タク!?大丈夫!?」
タク「……今……初代の声が聞こえた。」
悠真・ソフィア・キャス
「…………!」
団長
「白石の孫よ……覚悟しておけ。
あの化物は、お前を試している。」
タクはゆっくり刀を握りしめた。
(……逃げねぇよ、初代。
絶対に……俺が“終わらせる”)
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【四人+団長、港へ向かう】
団長
「行くぞ!!公国を守る!!」
タク「おう!!」
悠真「了解!」
ソフィア「任せて!」
キャス「ぜったい勝つ!!」
五人は燃える港へ向かって駆け出した。
その先に広がるのは──
黒炎に包まれた 地獄の港。
そして、
黒石初代が仕掛けた 第二の試練 の幕が上がった。
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