第二部47話── 蒼光水・弐奥義《蒼蛇の環》。無限増殖の収束作戦
【黒死龍ベビーモス──百体の地獄】
咆哮が嵐のように広間を震わせる。
空気が重い。
影が濃い。
四人は完全に包囲されていた。
キャス「はぁ……はぁ……お兄ちゃん……!」
ソフィア「これ以上……増えるのは……っ」
悠真「……終わらせるしかねぇ。」
タクは刀を握りしめたまま、
さっきの人物の言葉を思い返す。
『蒼光水は、“繋ぐ理”じゃ……』
(……いける……。
蒼光を“繋げる方向”で使えば……!)
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【タク──蒼光水・弐奥義の解放】
タクが前へ出る。
タク「みんな──
ベビーモスの影……“一点に集めるぞ”!!」
ソフィア「やるわ!!
光で道を作る!!」
悠真「俺は影を押し流す!!“蒼炎・奔流ッ!!”」
キャス「キャスは跳んで、走って、全部誘導する!!」
四人は同時に動き出す。
ソフィアが光で“道筋”を描く。
悠真が蒼炎の壁を作り、
敵を押し込む。
キャスは獣化で跳ね回り、
影のベビーモスに“追跡衝動”を与え誘導する。
そして──
タクは刀を横へ構えた。
(流れを……ひとつにまとめる……
切断ではなく……“接続”する……)
タクの刀が蒼白く光り、
水の波紋のように空間を揺らす。
タク「──蒼光水・弐奥義」
刀を振り抜く。
「《蒼蛇の環》!!!」
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【光の輪が走る】
シュバァァァァッッ!!
蒼光の軌跡が床一面に走り、
巨大な“光の環”が描かれる。
その輪は、
敵の影に触れた瞬間──
ベビーモスが“逆に吸い寄せられた”。
キャス「わぁっ!?
ベビーモスが……引っ張られてる!!」
ソフィア「影の“接合点”を作ったのよ……
あれに触れた影は、全部一つに戻ろうとする!!」
悠真「タク……!
こんな技、いつの間に……!」
タク「さっきの奴がヒントくれたんだ。
……やるしかねぇだろ!!」
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【無限増殖──収束開始】
光の輪は、大蛇のように揺らめきながら
全ての影を巻き込み始める。
ベビーモスAが吸われる。
ベビーモスBが押し込まれる。
Cも、Dも、Eも──
影の個体が次々に“溶けながら集合”していく。
キャス「すごい……っ
無限に増えてたのが……
どんどん“ひとつ”に戻ってる……!」
ソフィア「影生成の式そのものが書き換わってる……
これはもう、魔法じゃない……“理”の作用……!」
悠真「タク……
お前、白石の理を完全に歩き始めてるぞ……!」
タクは蒼光を保ちながら、輪の中心へ歩む。
タク「終われ……ベビーモス……!」
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【巨大な影の塊が残る】
すべての影が吸収され──
広間に残ったのは巨大な黒の“球体”。
キャス「……これが……元の姿……?」
ソフィア「違う。
“影の核”よ。
これこそが初代が残した罠。」
悠真は刀を下ろしながら言う。
悠真「タク……
仕上げは光か無属性しか効かねぇぞ。」
タク「分かってる。」
タクは蒼光を溶かし、
刀を静かに握り直した。
タク「……終わりだ。」
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【光の蒼斬】
一閃。
蒼白の光が影核を包み、
音もなく、それは消え去った。
静寂。
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【そして──あいつだけが消えていた】
ソフィアが辺りを見渡し、眉を寄せる。
ソフィア「タク……。
あのフードの人……いない。」
キャス「え……どこ行っちゃったの……?」
悠真は刀を鞘にしまいながら、
静かに言った。
悠真「……多分、ずっと俺たちを見てた。
“扉”のことも、理のことも……
あいつは知りすぎてる。」
タクは蒼光の残る刀を見つめた。
(あれは……敵か……味方か……
それとも──)
タク「……必ず、また会う気がする。」
ソフィア「うん。
あれは“重要人物”よ。絶対。」
キャス「怖くなかったから……
きっと悪い人じゃないよ……?」
悠真「どうだかな……。
ただ──」
悠真は広間の天井を見上げた。
悠真「この戦い……“誰かに試されてた”気がする。」
タク(……初代……?
それとも……“もうひとつの理”か……?)
謎だけが残され、
しかし四人は確かな勝利を掴んだ。
次へ進む準備は整った。
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