第二部46話── 扉の向こうの声。“無限増殖”を断つ唯一の方法
【黒死龍ベビーモス・無限の地獄】
百体を超えたベビーモスの叫びが、
広間を埋め尽くし、四人の鼓膜を震わせる。
タク「はぁ……っ……はぁ……!!
くそ……刀が……重い……!」
ソフィア「魔力……もう……半分も残ってない……っ」
キャス「お兄ちゃん……もうやだ……!!
怖い……いっぱい……こわいよ!!」
悠真ですら膝をつきかける。
悠真「……このままじゃ……押し潰される……」
ベビーモスは次々と影の肉から生まれ、
視界が“敵だけ”になる。
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【その時──扉が震えた】
──ギ……ギ……ギギ……
タク「……っ!?
今の音……!!」
ソフィア「誰か……いる……?」
キャスがタクの後ろに隠れながら震える。
キャス「お兄ちゃん……扉の向こう……
“人”の気配……する……」
悠真は刀を構えながら低く言う。
悠真「敵か味方か……わからねぇ……」
だが──
“音”だけで分かる。
この広間とは 別の空気 が向こう側にあることを。
タク「……誰だ!!
開けるぞ!!」
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【扉の向こうから漏れる声】
タクが手を掛けると、
中から “かすかな声” が返ってきた。
「……斬るな……」
タク「……え?」
「……影は……“斬れば永劫に増える”。
黒死龍ベビーモスは……“壊すな”。
“繋げ” ……」
ソフィア「“壊すな”……?
じゃあどう戦えっていうのよ……!?」
キャス「お兄ちゃん……“繋げ”って……なに……?」
悠真「……まさか……」
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【扉の奥から現れた影】
ゆっくりと扉がひらく。
キィィィ……ッ
そこに立っていたのは──
フードを被った細身の人物。
顔は見えない。
ただ、どこか人外の静けさを纏っていた。
タク「……誰だ!?
お前は……何者だ!!」
その人物はタクの刀と、ベビーモスの海を交互に見つめ、
ゆっくりと告げた。
「……“黒石盛隆の副産物”に、
斬撃は通じぬ。」
ソフィア「副産物……!?
やっぱり初代が作ったものなのね!!」
キャスは震えながら、
タクの腕を掴んだ。
キャス「お兄ちゃん……この人……怖くない……
黒の気配……全然しない……」
悠真は警戒を解かず、鋭く言う。
悠真「で?斬れねぇならどうしろってんだ。」
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【“繋げる”という答え】
フードの人物は、
床に落ちている“影の肉片”を指差した。
「……黒死龍ベビーモスは、“分裂は無限”。
だが……“合体は一度きり”。」
タク「……合体……?」
「どれほど増えようとも、
すべての影の体を──
“一つに戻せばいい” ……」
ソフィアの目が見開かれる。
ソフィア「……繋げる……
“束ねる”って意味……!?」
悠真「分裂させた影を、一つに……戻す……?」
キャス「そんなこと……できるの……?」
フードの人物は、静かにタクを指さした。
「できる。
“白石の理”……“水の道筋”ならばな。」
タク「俺……?」
「蒼光水は、
本来“繋ぐ理”だ。
斬るための技ではない。」
タクの心臓が跳ねた。
ソフィア「……つまり。
あんたの蒼光水なら、
影を“切断”じゃなくて──
“接合”できる……!?」
キャス「お兄ちゃん……すごい……!!」
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【タク、悟る】
タクは刀を握り直す。
(蒼光水……
水は切るものじゃない。
“流れを繋げる力”……
光は……それを導く線……)
タク「──“繋ぐ斬撃”……
やれる……やれる気がする……!!」
悠真はタクの背中を押す。
悠真「ならやれ!!
お前の技で、この地獄を終わらせろ!!」
ソフィア「私が魔力で進路を照らす!!」
キャス「キャス、全部の影……探して集める!!」
4人の力が、
絶望の中で再びひとつに向く。
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