第二部43話── 霧谷・中層。強個体、四体同時出現**
【霧谷・中層手前】
黒い霧の濃度が一気に上がった。
ゴォォォ……ッ……
耳鳴りのような“圧”が四人の皮膚を刺す。
ソフィア「……空気が違う。重い……」
悠真「下層とは桁違いだな。」
キャスは尻尾を丸めながらタクの袖を掴む。
キャス「おにいちゃん……なんかイヤな感じ……」
タク「分かる。
この先は……“来るぞ”。」
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【黒影・強個体、四体同時出現】
中層へ踏み込んだ瞬間──
黒影「ァァァァァァァ……ッ」
黒影「……ギィ……ギィィ……」
“明らかに下層とは違う形の黒影”が四方向から立ち上がる。
影は人型だが、
腕が長く、関節の位置が狂い、
全身から“黒の刺”のような煙を噴いている。
ソフィア「まずい……!
四体全部、“濃度Aクラス”の残滓!」
悠真「Aクラスが四体かよ……!」
タク(……同時に来られたら、押し切られる)
その時──
キャス「お兄ちゃん……!
私、行くね。」
タク「キャス──無茶はすんな!」
キャス「うん、でも……負けたくない!」
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【第一波──黒影の連撃】
“黒刺”が四方向から一斉に射出される。
タタタタタタタタッ!!
悠真「くっ──速い!!」
ソフィアが即座に杖を突き出す。
「《光壁》!!」
光の膜が破裂するように展開されるが──
ガガガガガガッ!!
ソフィア「っ……!?
押し込まれる……!!」
タク「ソフィア!!」
タクが前に踏み出し、刀を抜く。
「蒼光水──“逆流障壁”!!」
蒼光が前方へ噴き返すように広がり、
黒刺の勢いを“水流で押し戻す”。
黒影「……ァァアアッ」
悠真「助かった。だが……来るぞ第二波!」
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【第二波──黒影の高速接近】
四体の黒影が同時に跳躍。
キャス「動きが……変!?」
ソフィア「いや……速すぎる!!」
悠真「くるぞッ──!」
頭上、左右、正面……
四体が“一斉に距離0で殺しに来る”。
タク(避けきれねえ──!!)
──その瞬間。
悠真が前へ出た。
悠真「タク、下がれ!!」
蒼炎が全身に爆ぜる。
「“蒼炎陣形・爆閃壁”!!」
ドガァァァァァァッ!!
青白い閃光が四方向に炸裂し、
黒影たちを一瞬押し戻した。
ソフィア「悠真!!
その技、消耗が大きいでしょ!!」
悠真「分かってる!
でも今はこれしかねぇ!!」
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【キャス──単独撃破へ向かう】
キャス「悠真くん、ナイス!!
じゃあキャスも行く!!」
光レールに飛び乗り、
キャスが頭上へ跳躍する。
残滓の一体がキャスを迎え撃つように腕を伸ばす。
キャス「やだ!!どいて!!」
キャスの獣化が一段階深くなる。
「《獣爪・裂爪牙》!!」
ザシュッッ!!
黒影の“肩から腰まで”を斜めに裂き落とした。
黒影「……ァ、ア……」
消失。
タク「キャス……単独で一体落とした!?」
悠真「まじか……あの子、とんでもないな……」
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【ソフィア──回復と再補助】
ソフィア「支援します!!
《光導補陣・再展》!!」
仲間全員の足元に再び光路が伸びる。
「悠真! 無理しないで!
タクは右!キャスは一度戻って!!」
タク&キャス「了解!!」
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【三連撃──残滓、二体同時撃破】
タクが光レールを一歩踏み込み──
「蒼光水・“貫破波”!!」
蒼白い流線が黒影を貫く。
悠真は左の残滓の懐へ入り込み──
「蒼炎拳・“焔走牙”!!」
蒼炎の直撃で黒影の胴体を砕いた。
二体沈む。
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【残り一体──異質】
最後の一体だけ……
他の黒影と“明らかに違った”。
ソフィア「っ……あれ……全然動かない……?」
タク「……気配が……消えてる?」
悠真「いや違う。
あれ……“見えなくしてる”んだ。」
黒影が、霧と完全に同化している。
キャス「気配……読めない……!」
ソフィア「タク!!悠真!!キャス!!
気をつけて──あれは“隠密型”!!」
──次の瞬間。
黒影「……■■■■■■ッ!」
背後から、タクの背中に黒刺が迫る。
タク「しま──!!」
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【キャス──最後の瞬間に割り込む】
キャス「お兄ちゃん!!どいてぇぇぇ!!」
光レールを蹴ったキャスが、
影のようなスピードでタクの前に飛び込む。
ガギィィィッ!!
篭手が黒刺をはじき飛ばす。
キャス「触らせない!!
お兄ちゃんは……守る!!」
キャスの瞳が金色に輝く。
「獣化──第二段階!!
《獣爪・金牙乱閃》!!」
ザザザザザザザッ!!!
金獣の閃光が黒影を切り刻む。
黒影「──……」
霧散。
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【中層・鎮圧】
霧が薄れ、四人は息を整える。
タク「……キャス。
お前がいなかったら、危なかった。」
キャス「へへ……
お兄ちゃんは、絶対守るって決めてるから……!」
悠真「にしても……強個体とはいえ、
中層でこの強さか……」
ソフィア「核に近づくほど、もっと強くなる。
……気を引き締めていくよ。」
タクは刀を握り直し、霧の奥を見る。
(初代の残滓の“核”……
必ず、この四人で叩き潰す)
タク「行くぞ、みんな。」
三人「うん!!」
── こうして四人は、中層を突破し、
いよいよ“黒霧渦の核心”へと踏み込む。




