第二部41話── 霧谷の手前。キャスの“覚悟”と四人の初連携**
【公国南東部・霧谷へ続く古道】
夕刻の光が赤紫に変わり始めた頃。
四人は森の奥へ続く古い石畳の道を進んでいた。
空気は重い。
風が止まり、どこか遠くで鈍い“呻き声”のようなものが響く。
ソフィア「……霧、濃くなってきたね。」
悠真「黒の残滓が近い証拠だ。注意しろ。」
タクも刀に手を添えながら言う。
「この先が霧谷か……気を引き締めろよ。」
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【キャスの決意】
四人が歩いていると、
キャスがふとタクの服の裾を掴んだ。
「……お兄ちゃん。」
「どうした?」
キャスはきゅっと唇を結び、
瞳をまっすぐタクへ向けた。
「私も、戦うから。」
「キャス……?」
その声は震えていない。
以前の“守られるだけの少女”ではない。
「この新しい篭手……
お兄ちゃんとグラドさんがくれたでしょ?
だから──
次の戦いでは“獣化”する。
この武器を、身体に取り込むから。」
タクの胸が強く揺れた。
「……いいのか?
獣化は体力も精神も削る。無理は──」
キャスは首を横に振る。
「違うよ。
無理じゃない。
だって……
お兄ちゃんと一緒に戦いたいの。
守ってもらうだけじゃ、イヤなの。」
涙はない。
覚悟だけが宿っていた。
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【タクの答え】
タクはゆっくりキャスの頭に手を置く。
「……分かった。」
キャスが顔を上げる。
「キャスが自分で選んだなら、俺は止めない。
でも──」
タクは優しく笑った。
「絶対、ひとりにしねぇからな。」
キャスの耳が赤く染まり、
尻尾が嬉しそうに揺れる。
「うん……!!」
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【悠真の一言】
悠真が少し前を歩きながら言う。
「……いい覚悟だ。
キャス。お前の“嗅覚と動き”は、俺たちには真似できない。」
キャス「ゆ、悠真くん……!」
悠真「獣化は危険もあるが、そのぶん力も跳ね上がる。
……頼りにしてるぞ。」
キャス「うんっ!!がんばる!!」
ソフィアが横からにやにやと見てくる。
「キャス、二人から励まされて、顔真っ赤じゃん♪」
「もうっ!お姉ちゃん!!」
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【前方に──黒霧の気配】
その時だった。
ゴォォォ……ッ……
谷の奥から
“黒い霧”がゆらりと溢れてきた。
ソフィア「っ……来た……!」
悠真「残滓だ……しかも複数。」
キャスの耳がピンと立つ。
「お兄ちゃん……五……六……七……
ううん、もっと……!」
タクは刀を抜き、蒼光が淡く走る。
「一度、戦ってみよう。
四人でやる最初の戦いだ。」
悠真も短刀を構え、赤い理が揺らめく。
「核を探る前に、まずは“群れ”を突破する必要がある。」
ソフィアが光魔術の陣を展開する。
「いつでもいけるよ、タク。」
キャスが前へ一歩踏み出した。
その瞳には──
もう怯えはひとつもない。
「お兄ちゃん、行こう……!」
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【四人の初連携戦──開幕】
タク「よし……行くぞ!!」
悠真「合わせる!」
ソフィア「魔力、全開!」
キャス「……獣化、する!!」
キャスの身体を金色の獣気が包む。
足元の石が跳ね、空気が震えた。
四人の力が、ひとつに重なった瞬間──
黒霧「────」
霧の中から複数の黒い影が姿を現した。
タク「来いよ……!」
キャス「お兄ちゃんと、みんなで倒す!!」
四人は霧谷の闇へと飛び込んだ。
こうして、
四人パーティ初の“黒の残滓討伐戦”が始まる。
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いつも読んでいただきありがとうございます。
これから、面白くなってきますので、今後ともよろしくお願いします。




