第二部40話── 公国危機。紅の団長との会談
【公国本営・紅の騎士団詰所】
夕焼けが赤く差し込み、
石造りの廊下に長い影が伸びていた。
タクたちは案内兵に導かれ、
紅の騎士団の本拠へと歩く。
「……空気がピリピリしてる。」
ソフィアが周囲を見回す。
「街の人も兵士も、みんな緊張してる匂いだよ……」
キャスの尻尾も落ち着かない。
悠真は歩みを緩めず、低く言う。
「……“黒の残滓”が増えてる。
公国の南東部、すでに三ヶ所で発生してるらしい。」
タクは拳を握りしめた。
(初代が動いてる……その余波がもうここまで……)
その時──
「来たか。」
重い扉が開き、
真紅の外套を纏った男が姿を現した。
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【紅の団長・グランド=クロス】
身長はタクより少し高い。
鋼のような身体つき。
その眼は軍人特有の鋭さと、炎の意志を宿していた。
「紅の騎士団団長、グランド=クロスだ。」
彼はタクを見た途端、
驚きと興味が混じった目をした。
「……白石の流派の者か。」
タク「分かるのか?」
「剣の“立ち方”でな。
わしは白石源蔵殿と共に戦場に立ったことがある。」
タクの心臓が跳ねた。
「じいちゃんを……?」
グランド=クロスは静かに頷いた。
「源蔵殿は、戦場にいると空気が澄むような男だった。
──だが、今の公国は澄むどころか“濁り始めている”。」
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【会議室──公国の危機】
重い木の机を囲み、
タク・悠真・ソフィア・キャス、そして団長が座る。
壁には公国全域の地図が貼られ、
複数箇所に赤い印がついていた。
ソフィア「……こんなに?」
団長「昨晩から今朝にかけて、“黒い霧の渦”が四つ発生した。
討伐に向かった部隊の三割が消耗……
『声が聞こえてくる』と叫んで撤退した者もいる。」
キャスの耳が震える。
「お兄ちゃん……あれ、怖いやつだよ……」
悠真は地図を見つめながら言う。
「……“初代”の気配が濃くなってる。
こいつは本格的に動き出す前触れだ。」
団長「初代とは……?」
タク「──黒石 清九郎 盛隆。
五百年前の“黒の始祖”です。」
グランド=クロスの目が大きく揺れた。
「……あの伝承の、亡霊か。」
ソフィア「亡霊じゃない。
いまも動いてる“知性を持つ屍人”。」
団長「……世も末だな。」
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【4人の共闘──団長からの正式依頼】
団長は机に両肘をつき、
ひとつ深く息を吐いた。
「白石の孫、赤石の若者、エルフの魔法使い、獣人の少女。
……お前たち四人に正式に依頼したい。」
タク「依頼?」
「公国南東部“霧谷”に発生している
黒霧の渦──その核を破壊してくれ。」
ソフィア「核……!」
悠真「黒の残滓を生み出してる中心……か。」
団長「そうだ。
そこを絶てば、少なくとも一帯は安全になる。」
タク「……俺たちが同時に動けば、行ける。」
キャス「うんっ!がんばる!!」
ソフィア「作戦を立てる必要があるわね。」
悠真「四人で行くのが確実だ。」
団長が4人を見回し、はっきりと告げる。
「お前たち四人を──
紅の騎士団“特別協力戦力”として認める。」
「公国は、今からお前たちを
第一級脅威・黒の災厄
への対抗戦力として扱う。」
タクたちは一瞬、息を呑んだ。
(……ついに、こういう立場になっちまったか)
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【団長の忠告】
会議が終わりかけた頃。
団長がタクを呼び止める。
「白石の孫。」
「なんですか?」
「……お前の“刀”に宿る光。
あれは希望にもなるが──闇を呼ぶ灯にもなる。」
タク「闇を……呼ぶ?」
「光が強くなれば、必ず“影”が濃くなる。
黒石初代がお前に執着するのは……
おそらく、そのせいだ。」
タクは、つい昨日の言葉を思い出した。
『白石の理よ。五百年経とうが、変わらぬのう。
わしは待っておる。
終焉の地で、お主と再び相まみえる日を。』
(……待ってる。
俺を……?何のために……?)
団長「覚悟しておけ。
初代は、お前を“試す”気だ。」
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【4人、霧谷へ──出発】
詰所の外。
夕闇が落ち始め、
空には薄い蒼光が残っていた。
悠真「タク。準備はいいか?」
タク「ああ。
お前と一緒に動けるなら、怖くねぇ。」
キャス「おにいちゃんと悠真くん……かっこいい……!」
ソフィア「はいはい、惚れないの。」
キャス「もう惚れてるよ!!」
タク「おい!?」
悠真「……相変わらず賑やかだな、お前ら。」
四人は同時に前を向く。
その先には──
公国南東“霧谷”、黒霧の渦。
最初の“四人共闘”にして、
公国危機編の開幕となる戦いが待っていた。
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