3 遊軍
マリエールの活躍で東の国の軍勢は壊滅した。陸軍大将は正確に報告するが領主は信じられない。
3 遊軍
辺境伯は陸軍大将の話を聞く.東の国の軍勢を殲滅した
事だけでも奇跡なのにそれを成し遂げたのが6歳のマリエールとは信じ難い。陸軍大将の報告は終わった。褒美の件を尋ねると全てマリエールお嬢様のお陰ですからお嬢様に差し上げて下さい。と言う。人の働きを隠す男ではないから本当にマリエールの働きか。辺境伯はマリエールに尋ねた。
「マリエール、私はそなたが魔法を所有するとは知らなかったが何時身についた。」
マリエールは少しも慌てず
「昨日暗殺者に襲われた時です。もう少し早く覚醒すればメイドも助けられたのにと思いますがメイドの死が魔法覚醒させたのかも知れません。」
辺境伯は思案顔だ。
「その方働き、見事だ。褒美や望むものがあれば言ってみよ。」
今度はマリエールが思案する番だ。
「特にございませんが、この領、領民のためになることしたいです。取り敢えず東の国を何とかしたいです。」
今回の働きからみて東の国への対抗手段足り得る。
「マリエール、その方を遊軍に任じる。行動許可は私だけに取れ。
必要なものは私に言え。」
マリエールは受けたまわった。マリエールは早速聞いた。
「しばらく東の国の内情を探りたいのですが。」
領主は頷く。
「それだけの魔法の実力があれば危険はあるまい。しかし何か行動を起こす時は許可を取れ。実力行使していいのは正当防衛だけだ。」
任せてください。何せ元自衛隊員ですから。
退席して図書室で東の国のことを調べた。ほとんど資料がない。地図もまともなものがない。王都の位置が載っている程度だ。これでは転移は出来ないな。フライで飛ぶしかないな。夕食の時領主に明日からしばらく東の国に行ってきますと伝えた。領主は気を付けて行ってきなさい。と言ったので他の家族は何も言わないが怪訝そうだ。
メイドに言伝を頼み出発した。戦場になったところも修復が進んでいる。残存兵達はどうしているのだろう。国境の川も橋は架かってない。東の国をしばらく行くと放牧地帯だ。マリエールの国と違って痩せた、放牧にしか向かないような土地が広がる。事実牧羊の群れを幾つも見た。放牧民は軍隊の即戦力だ。生活そのものが軍事演習のようなものだ。しかも騎馬兵だ。主にマリエールの国に力を見せ金品を要求する。今回はデモンストレーション的なものだろう。今回の結果を受け本格的な攻勢に出る可能性がある。見落とさずしっかりと対応しなければならない。
東の国の国王は、報告を受け激怒した。
「我が国の精鋭を派遣したんたぞ。負けはずがないだろうあの国に。いったいどれほどの軍勢が襲って来たんだ。」
報告している軍務長官も冷や汗をかいている。
「一人です。魔法使いが一晩で10万の軍勢を壊滅させました。諜報部隊も大きな損害を受けたようで、伝書鳩で紙切れ1枚送るので精一杯のようです。」
軍務長官は側近を通じて紙切れ国王に渡した。
「これでは何も判らんではないか。諜報部隊は肝心な時に役に立たんな。それでこれからどうするのだ。」
そこが判らないから冷や汗をかいている。
「魔法の専門家に魔法の解明、対抗手段を尋ねます。またその魔法使いを探させます。こちらに協力しないなら殺さます。」
国王は軍務長官の応えに満足していないらしい。
「何故突然そんな魔法使いが現れた。探すのはいいが逆鱗に触れてこの国ごと滅ぼされるまねはするなよ。この国にそんな魔法を知っている魔法使いがいると思えぬが何の手掛かりは知っているかも知れないな.早急にかかれ。」
国王はその魔法使いが国にいる事知らない。
マリエールは東の国へ偵察に行く。東の国の国王は考え込む。