1 暗殺者
私は6歳の少女マリエールに転生した。自分に6歳の少女の真似が出来る筈がない。荷物をまとめアイテムボックスに入れ旅だった。
1 暗殺者
6歳マリエールには状況は判らない。ただ人が右往左往して軍人達が殺気だった様子で出て行くのは判った。メードの一人が私抱いてくれていてくれたのでパニックにならずに済んだ。これが戦争なのだという事に後になって気付いた。たた自分の部屋でじっとしているしかなかった。
誰か近づく気配がした。足音を忍ばせている。味方ではない事は判った。扉が開いた。黒装束の人間だ。チェという舌打ちが聞こえる。一気に襲いかかってくる。まずメイドが殺された。次はマリエールのようだ。贖うすでがない。殺されるだけだ。
一応ないよりましなナイフ持っていたが手にしただけで軽くあしらわれて、胸を刺された。
私が転生した時目前に殺人者がいた。殺された少女はうつ伏せに寝ていたのでこの少女が生きている事に気付いてない。神経は室外に向いている。手にナイフを持っているし敵は後を向いているのでチャンスには違いないが、この少女に殺人鬼を殺せる体力があるかは甚だ疑問だ。このまま死んだ振りをしている方が生き残る可能性は高い。じっとしていると彼女の記憶や転生特典などが判った。様々な魔法だ。この場で使えるものもある。この身体で仕留め損なったらアウトだ慎重に狙いを定めて最大の魔法を放つ。土と風と闇の貫通魔法だ。殺人鬼の胸を貫き殺人鬼は絶命した。私は取り敢えずほっとした。私はマリエール6歳に転生した。私には6歳の振りはできないから早く出て行った方がいい。幸い戦争のようだ。持てるだけ持って逃げだそう。殺人鬼の死体から武器や兵糧、マリエールの着替えやタオル、お菓子の類などをアイテムボックスに入れた。窓からフライした。上空に上がると多分こことは違う国の軍勢が何万人も寄せてきた。こちら側の軍勢は桁違いに少ない。
しかし、善悪なんて所詮主観的なものすぎない。本当は少数のこちら側悪で大勢で攻め来る方が正義かも知れない。ウクライナが悪でロシアが正義だと考える人は確かにいる。
私は自衛隊の医官だ。自衛隊を選んだのは自分の家族や親戚に自衛隊関係者が多く、自分そうありたいと考えたからだ。姉の影響が強い。姉は防衛大学校に入り自衛隊員と結婚し、今も自衛官だ。姉ともに学び私は防衛医科大学校に入り医官として働いた。一応自衛隊を除隊して普通の医師となってもいい年を迎える。同学年の多くがその道を選ぶようだ。私はどう何だろう。自衛隊以外の人生は考えたことがない。友人だってそうだ。違う道があることは知っていた。
しかし、現実問題として考えたのはつい先日だ。友人の一人から、来年3月で除隊して同じ病院で働こう。兄が外科部長をしている病院があるんだ。一緒に来てくれると嬉しい。これプロポーズだよ。いきなりなんて言うことをいうんだ。頭が混乱してまとまらない。
応えは保留した。そんな時医療ボランティアの募集をみた。国民は自衛隊員の海外派遣には神経を尖らせるが、個人的ボランティアには寛容だ。まして医療ボランティアは問題にしない。自衛隊も国際貢献をしたいから最大限の援助がある。ウクライナの医療援助だ。英語が話せれば通用するらしい。私は応募してボランティア休暇を取得した。期間は半年間だ。始めは安全な地域での活動だ。スタッフや患者とのコミュニケーションも問題ない。患者の数は多いがこなせないほどではない。数ヶ月して移動した。激戦地だ。患者の数も程度も前の比ではない。戦いの様な日々だ。しかし笑いあうスタッフ、患者達に励まされ何とかやって来た。そんな日が続く中ロシア側から一発のロケット弾が撃ち込まれた。私のこの世の最後だった。
私は自衛隊の医官だった。プロポーズをされどうしていいか判らないままウクライナの医療ボランティアに参加して戦禍に巻き込まれ死んだ。