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君をのせて回りたい!

作者: 近衛モモ 



かつてこの星が生まれて間もない頃。

この星にはすでに人類と遜色無いほどの知能を持った生き物が存在していた。


彼等は大陸がまだひと繋がりであった頃に、その広大な敷地の上に、地球上で唯一の大国を築いていた。この大国を『アトランティス』と仮称する。


彼等は人類の歴史と全く同じような道筋を辿って、長い時間の末に超高度文明を手にした。人類の歴史は二番煎じであり、すでに地球上で一度紡がれた物語の復唱に過ぎない。(一方で、進化の系譜上は、彼等は人類の前身に当たらない。)


彼等はその技術で星の外側、宇宙を識り尽くしていた。教師が黒板に文字を書くように、壁画を描いて教育をしていた。現代の人類と同じように、農作や牧畜が産業の主流であった。

彼等の文明では「記録」と「教育」は最重要事項であったようだ。

彼等は星の起源は星の外(宇宙、ビッグバン)ではなく星の中(マントル、種子)にあると考え、星の核への進出を目指していた。


それは現代の人類が宇宙に興味や関心を抱き、国家事業として研究を進めることと変わらない。

しかし『アトランティス』は亡国であり、彼等は戦争によって『絶滅』した。

文明が進歩するにつれて彼等の可能性への欲求は際限を失い、より多くの資源や労働力、気候や環境の安定した土地を求めて、宇宙にある他の星への侵略に乗り出したからだ。

尚、地球の中で争うのではなく宇宙戦争となった理由は、当時は国として在るものが『アトランティス』ただ一つであった為である。


結果、敗戦という形で彼等は『絶滅』した。

当時、彼等の技術の集大成であった戦闘機は円盤の形をしており、現在でも全ての戦闘機が帰還(もしくは撃墜されている)という保証はない。


現代の人類が、円盤型の宇宙船を宇宙から飛来したものと思っているのは、甚だ誤解である。寧ろそれらは元々この星から飛び立ったものであり、現在でも戦争が終わったことを知らないまま空の警戒に当たっている古代兵器であると言える。

また、気候や土地柄の関係で地上に長い年月のあいだ描かれたままになっている巨大な地上絵は、この戦争の頃に何かしらの作戦や指示をこの円盤型の戦闘機部隊に知らせる為の暗号であったと考えられている。

その為、消えてしまったので発見されていないというだけで、地上絵自体は分離して分かれてしまったどの大陸から発見されても不思議ではない。

オーパーツと呼ばれる物に関しても、この頃の戦争に使われていた兵器の残骸であるという説が有力である。


これらの事からわかる通り、現代では宇宙人と言われているものこそ、かつての地球人である。彼等が戦争の戦利品として、この星に当時無かったはずの植物や鉱物を持ち帰っている様子は、現在でも壁画に残されている。


人類と似たかつての先人達は戦争という選択の先に『絶滅』したが、超高度文明(を、持っていた当時の地球人たち)は『アトランティス』の消滅を望んでいなかった。

彼等はいつか自分達と同じ知的生命体が再び地球上に繁栄することを予測し、その者達が地球最後の種となれるように、出来る限りの文明の痕跡を敢えて遺したと考えられる。


現代になって、我々人類が土の中や氷の奥底から発掘している文明の痕跡は、様々な時代のものが入り混じるが、総じてかつての大国『アトランティス』を想起させ、人類に時を超えて呼び掛けている。


先人の生きた痕跡から学びを得て、同じ過ちを犯す事無く、生き延びること。『アトランティス』とかつての地球人達が到達しなかった未踏の未来へ踏み出すこと。「戦争」と「絶滅」を回避し、人類という種として歴史を創ることで、その記録を星に刻むこと。

地球は大陸が分離しようとも、宇宙の星々が遠く離れていこうとも、星として寿命が尽きるまで、人類と共に回り続ける。

古代超高度文明『アトランティス』を乗せて。





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