表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

5話 チエアルモノ

第5話、よろしくお願いします。

 弑逆者…ヤバいってもんじゃない。

 その権能は、対象となったものが自身よりも強ければ、自分がそれに勝るように身体能力を底上げするというもの。

 キャパはあるものの、かなり幅が広いらしく、私の30倍くらいまでなら難なく越えられるらしい。

 そして、もうひとつの権能が、能力を使っている最中に倒した敵の能力を奪い取れるというもの。

 私の目の前に立ち塞がる迷宮の守護者(ガーディアン・デル・ムェルテ)はよくて、私の13〜16倍くらいの力しかない。

 壁のように見えるそれは、もはや私の敵ではなくなったのだ!


「これでも、くらえぇ!」

「ぐぐぐ」


 ほーら見ろ!私の動きについて来れないだろう!

 私は、ゴーレムの周りを超スピードで駆け回り、3属性の剣で切り刻んでいく。

 要は、ヒットアンドアウェイ作戦だ。

 ゴーレムの動き自体は鈍いから、この戦法が有効なのだ。

 ある程度まで削った頃、ゴーレムに異変が起きた。

 俊敏性と攻撃力が上がったのだ。

 私がその身を削り過ぎたわけではなく、小さく圧縮されたような感じ。

 そして、それに伴って、私の弑逆者が切れる感覚があった。

 強制的に切断されたような切れ方。

 つまり、目の前のゴーレムは私の30倍以上の強さを得た、ということだ。

 攻撃が重く速い。

 単調だった攻撃は、中に人がいるかのように複雑になっていた。

 思考加速で認識しながら、避けるので精一杯になってしまっていた。

 これは完封は厳しいかもしれない…

 そして遂に、ゴーレムの放った流体魔鋼ガリンスタレアの攻撃が、私のお腹を穿ってしまった。

 苦痛無効があるにも関わらず、激しい痛みが襲ってくる。

 つまり、本当のピンチということだ。

 冗談じゃないよね、ホントに。

 せっかく弑逆者で追いついたと思ったら一気に離されるなんて、反則じゃん。

 弑逆者使った私が反則とかないけど…

 激しい痛みに思わずふらついてしまう。

 それを逃すゴームではなく、無数の鋭いトゲが私の体を買いた。


「あああああああああああっ!!」


 あまりの痛さに気を失いそうになるが、追ってくる腐食の痛みで叩き起こされる。

 私は、迷宮の宝剣エスパダ・デル・テソロの『万物を滅す紅蓮の業火フェゴ・ロージョ』で溶かしながら脱出するも、立っているのがやっとだった。

 ズシンズシン、と私に近づいてくるゴーレムが見える。

 ああ、もうおしまいだ...そう思うものの、生にしがみつくのをやめられなかった。

 震える体を、剣を杖にして支える。

 そしてまた、剣を構えた。

 足は生まれたての子鹿のように震えている。

 もう弑逆者は当てにならない。

 どうせ死ぬなら一矢報いてから死んでやる。

 私は心の中でそう決心した。

 そして、それは同時に起こった。

 

『固有スキル【 生存者(サバイバー) 】の権能、【 生存本能 】が、使用上限に到達しました。進化条件【 不屈の精神 】を満たしたため、【 生存本能 】を進化させます。これにより、【 生存本能 】は、【 生之智慧(イキルチエ) 】へと進化しました』


 はぁ?迷宮に来てから、私強くなりすぎじゃない?

 ま、まぁ、今は都合がいい。

 私の体の再生の速度が上がる。

 死の淵からここまで回復した私の能力は、先ほどまでと比べ物にならない。

 もう、『生存者(サバイバー)』がここまで強くなったのなら、『弑逆者』はいらない気がしてきた。


『【 弑逆者 】の統合申請を確認。承諾しました。【 生存者(サバイバー) 】と【 弑逆者 】を統合変化させます。これにより、固有スキル、【 知恵者(サバイバリスト) 】を獲得しました』


 あれま。

 いや、ホントにスキルの入れ替わりが激しいね。

 この前『生存者(サバイバー)』を獲得したと思えば、もう統合されてしまった。

 もう私の頭じゃついていけないね、こりゃ。

 能力の把握自体は済んでるから、別に問題はないし…多分。

 ええと、権能の方はっと…


【 知恵者(サバイバリスト) 】

『生之智慧』『気配感知』『鑑定』『能力増強』『思考加速』『隠密回避』『空間操作』


 oh…

 かなり能力が強くなってる…

 同じ固有スキルの枠組みなのに、ここまでの差が出るとは、思ってもみなかった。

 だが、これなら勝てる。

 私は、今一度迫り来るゴーレムを正面に見据えた。

【 名前 】ユーリ・ラナバーズ

【 年齢 】?

【 性別 】女

【 能力 】固有スキル:知恵者(サバイバリスト)

      権能: 生之智慧・気配感知・鑑定

         能力増強・思考加速・隠密回避

         空間操作

      魔法:火起こしの魔法

【 実績 】捕食者・一定生存・知的好奇心・危機管理

      迷宮の洗礼③・鬼殺し・時は金なり

【 耐性 】苦痛無効・毒無効

【 装備 】迷宮の宝剣(エスパダ・デル・テソロ)


 自分でも不思議に思うくらいペースとスキルに関する展開が早い。

 ゴーレムが、ユーリの16倍程度なのは、ユーリがそこに辿り着くまでの間、『生存本能』によって能力の底上げが行われていたから、迷宮初日と比べて、圧倒的な力を得ていたから。

 迷宮初日のユーリとゴーレムを比べると、だいたい40〜43倍は違う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ