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15話 帝国が動く

今回から帝国編突入です

 荘厳な宮殿を中心に、美しい都市が繁栄していた。

 彼の都市の名前は、ユーヴェンゲルグ。

 大陸中央に位置する大国、ラグドリス帝国の帝都である。

 そんな帝国の皇帝が座す場所、それが宮殿ーウゼルヴェーヌ大宮殿だった。


「なに?我が国の巨大迷宮が3つとも消滅した?」


 宮殿の議務堂で、絢爛な服を纏った男たちの中でも一際目立つ男が、声を荒げていった。

 彼の名は、デカルティオ・セルマネール・ラグドリス。

 この国の第28代皇帝である。


「はい…原因はわからず…ただ、ほとんど同時に消滅したとしか……」


 この3つの巨大迷宮というのは、十数年前に、攻略された迷宮を指す。

 ユーリが殺した男たちが迷宮主を務めていた迷宮のことである。

 迷宮は、迷宮閣を壊されると、その機能を停止し、延々と魔物を生み出すただの穴となってしまう。

 拡張をすることがなくなり、安定した素材鉱山となるというのだ。

 人間からすれば好都合なものとなるのだ。

 迷宮には迷宮閣のほかに、迷宮主という存在がいることは、人間には知れていない。

 故に、迷宮主と迷宮閣、そのどちらも絶えてしまえば迷宮が消えるということも知られていないのだ。


「チッ…今現在稼働している鉱山迷宮は幾つだ?」

「確か、中規模迷宮が10個と、小規模が22個稼働しておりますが、生産量は以前の4分の1にまで落ち込んでいます」

「そうか……」


 この数値は、つまり、かの3つの迷宮への依存具合を示していた。

 このままでは、国は衰退の一途を辿るであろうことは明白だった。

 そもそも、あの迷宮が見つかるまでは、帝国も弱小の国だったのだ。

 それがここまで大きな国に発展するのだから、迷宮鉱山の資源量は末恐ろしい物だ。


「今すぐ、調査隊を各地に派遣せよ。帝国十二真将の動員も許可する!」

「はっ!直ちに部隊を編成し、迷宮捜索の人に当たらせます!」

「それと、この話題は他言無用だ。くれぐれも情報を漏らすな!」


 この情報が漏洩して、他国に漏れてしまえば、おそらく帝国は攻められることになるだろう。

 迷宮が手に入ってから、破竹の勢いで周辺諸国を侵略、合併してきた国だ。

 帝都から離れた周縁部では、未だ帝国への反骨精神が残っている。

 今、他国に帝国の綻びを見せるわけにはいけない。

 会議が終わって、皇帝は深いため息をついた。




◇◇◇




 宮殿の一角、帝国十二真将と呼ばれる、12人の覚醒者専用の宿舎があった。


「それで、私に白羽の矢が立ったってわけ?」


 少し不機嫌にそう言ったのは、帝国十二真将第4位、『狂竜』のリジュナ・シュトラだ。

 彼女は、シュトラ伯爵家に生まれた、最も新しい帝国十二真将である。

 しかし、その順位は4位。

 決して侮ることのできない実力の持ち主であった。


「左様でございます。引き受けていただけるのでしたら、相応の報酬をご用意いたします」

「報酬、ねぇ…そんなのいらないから、強い相手を持ってきてよね」


 彼女は、根っからの戦闘狂(バトルジャンキー)であった。

 帝国十二真将に入ったのも、自分の戦闘欲求を満たしたいがためだったりする。

 ちなみに、国への忠誠心は皆無だ。


「ですが、貴方様に勝る強者など、私は知り及びません」

「じゃ、断るね」

「お、お待ちを!こ、此度、巨大迷宮を発見できた暁には、そこの最終階層主を単独で討伐できる権利を送りますので、どうか!」

「…それ、二言ないね?」

「もちろんですとも」

「わかった。じゃあ、引き受けちゃうわ」


 彼女は何よりも戦闘に、ギリギリの命の取り合いに重点を置く。

 友より戦い、家族より戦い、金より戦い、果ては命より戦いを選ぶ、それがリジュナという女だった。

 彼女は、何よりも、強者を好む。

 その牙が、ゆっくりと、しかし確かにムェルテの迷宮に迫ろうとしていた。

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