11話 時間稼ぎ
第11話、よろしくお願いします。
アスタと出会ってからは絶好調だった。
2階層の罠とかは断然凶悪になっていたのだが、アスタの張ってくれた結界がその全てを無効化していた。
「アスタって頼りになるね!」
「お褒めに預かり光栄ですよ、ユーリ」
このように、褒めても決して傲慢になったりもしない。
さすが、長き時を生きる悪魔、と言った所だろう。
途中途中、迷宮鬼族の上位種、迷宮大鬼族も襲ってきたが、アスタの魔法の前に散っていった。
アスタもアスタだが、私もかなり強くなってきている。
もちろん、装備がいいというのもあるが、私が迷宮に足を踏み入れた時よりも数倍、いや、数十倍は強くなっている感覚がある。
今なら2階層の最終守護者、迷宮の城壁者とやらにも勝てる気がするぞ。
「おや、見えてきたようですよ、ユーリ」
「ここが…」
堅牢な城壁のような壁に囲まれた部屋が、私たちの前に姿を現した。
けど、そこまで心配はしていない。
迷宮の城壁者が、あのゴーレムよりも強かろうと、今の私はあの時よりも強いし、それに何より、スキルを使わなかったら逆立ちしても勝てないアスタが味方にいるのだ。
勝てる未来しか浮かんでこない。
それでも油断大敵なのには変わりはない。
「ここはさ、私たち2人で一気に叩かない?そっちの方が確実でしょ?」
「それはまた、ご尤も。その案でいきましょう!」
「だよね。アスタならそう言ってくれると思った!」
作戦…と言っていいのか分からないけど、攻略の大枠はまとまった。
あとは迷宮の城壁者をボッコボコにするだけだ。
◇◇◇
部屋に足を踏み入れた途端、全身を怖気が襲った。
圧し潰れるようなプレッシャー。
それはアスタも感じているようで、顔を顰めて、『めんどくさい』と呟いている。
部屋に入って少しすると、壁がこちらに近寄ってきた。
その形状はかなりトゲトゲとしている。
ここで、私はようやくこの圧の正体に気がついた。
この壁…いや、迷宮の城壁者が放っているのだ。
つまり、フロアボスは、この部屋そのものということだ。
「これは厄介なことになりましたね。ユーリの元までテレポートしてきたのは少々間違っていたようですねぇ」
「これ、アスタならなんとかできそう?」
「時間さえあれば、最大出力の万物を呑む闇の深淵でどうにかできるでしょうが、このスピードだと、難しいかと」
「じゃあ、私が時間を稼ぐね」
「無茶はいけませんよ、ユーリ」
そう言ってすかさず、呪文の詠唱を始めるアスタ。
悪魔は魔法に長けているため、普通詠唱は省くが、それでも魔法の威力は落ちたりしない。
いや、落ちはするのだが、人間からしたらそれでも十分な威力がある。
そんな悪魔、しかもその頂点の一角が詠唱を加え、使う100%の始原闇魔法。
その威力は計り知れない。
「闇に呑まれし数多の魂に求む。我が敵を討ち、呑むその深淵を我に与えたまえ…」
長々しい詠唱を始めるアスタ。
これを守るのが私の仕事だ。
やってやろうじゃないの!




