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水の底のまほろば

作者: 秋葉竹




小さな桜貝の

貝殻をしろい砂浜で拾ったら

海底の点景が

ゆっくりとまぶたの奥へ

映し出されるんだ


海底に時間はないから

大きな海亀がゆったりと泳ぐ

スカートたなびかせ優雅な水母は

空でゆくえに戸惑う水色の気球のようだし

極彩色の竜宮城の出来事のような

リズミカルな魚群の舞い踊りが

いつまでもくりひろげられる


降りそそぐ陽光は

鏡面のうえにさざなみを

ゆらりゆらりと光らせている


こんな

おとぎ話みたいな無邪気な美しさを

長い一日をかけて

たぶん大空は静かに

目を細めて眺めつづけるのだろう

そこにはきっと

好きな人にアピールするみたいに

ただ消えてしまった清涼な

残像がみえるのだろう


そして爽やかな風のたよりが

地上の星に生きる色を好む人たちの耳に

恋する人生をささやきつづけるのなら

まるであけっぴろげで

気楽な気持ちで生きていいんだね


………


………………


小さな桜貝の

貝殻を拾った砂浜で

まるで夢にだまされたみたいな

まぼろしでも

みたというのか?


水の底のまほろば


そこで聴いた気がした

夜をまつ

ずっと遠くの山脈の

おどろくほどの優しい吐息を


きっとたしかに聴いたんだと

それだけはほんとうなんだと

言ってしまっても

いいものなのだろうか?












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