箱庭の姫
R15は保険みたいなものです。
それでは、どうぞ
『貴女には、一生逃れられない呪縛の罪を与えよう』
とある判決文に、書き記された1節だ。
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……私は、一体いつからここに居るんだろう。
『過去からの意思』を持ったあの日から、ずっと思っていた事だ。
四角い箱の中に、テーブルに椅子に、ティーセット。
木が何本かあって、近くには小さな池がある。
身体は動かない。これはどうしても無理だ。
女の子がこちらを見ている。
私にしてみれば、巨人にしか見えない。
『私の大切なお姫様、今日も綺麗だわ。』
その女の子が言った。
……そう、私は箱庭の姫だ。
此処から出られない姫だ。
声を出そうとも、声は出ない。
私は 此処から 出たい
自由に 大きな世界を 歩きたい
一生 動かずに 居たくない
ご………めん……な……さ……い………っ!
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「香穂、あの箱庭はもういいの?」
あの箱庭を売った後、母にそう言われた。
小学校の時に、伯母から貰った『箱庭の姫』。
いつからだろう。あの姫の目線が怖い、と。
最近知ったことがある。
『箱庭の姫』の呪われた過去、と言うものを。
あの姫をモチーフにしたのは、『血塗られの悪姫』と呼ばれた――
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それ以降、その家族がどうなったかは知られていない。
実は、その伯母も『箱庭の姫』を渡した数ヶ月後に亡くなったという。
今も何処かで、脈々と受け渡しているのだろう。
『罪重ね』、と言うものを。