ゴミはきちんと分別して
私の住んでいる家の近所には、とんでもなく過干渉なおばさんがいる。
どこから引っ越してきたのから始まり、勤め先はどこだ、好きな人はいるのか、食べ物は何が好きだと、もううんざりするほど突っ込んでくる。
やめて欲しいと言いたいのだが、その近辺の実力者の奥さんなので、事を荒立てたくない。
平穏に生活するためには我慢するしかないのだ。
私は争い事は好まない。
言い合いするのもゴメンだ。
ある日の夜、私は明日がゴミの日だと気づき、慌てた。
何も整理していない。
あのおばさんは「分別」に凄く五月蝿い。
私は大急ぎでゴミの分別を始めた。
これは燃える、これは燃えない、これは粗大ゴミ?
疲れた頭でそういう判断を下すのはとても大変だった。
結局分別は明け方までかかってしまった。
私はゴミをゴミ袋に詰めながら、大欠伸をした。
朦朧とした状態で、集積所に向かう。
いつもはおばさんが集積所の前で監視しているのだが、今日はいなかった。
まだ早いのかも知れない。
まあいい。顔を合わせずにすんで良かった。
私は家に戻り、仕事に出かけた。
そしてその夜。
仕事を終え、クタクタになって家に帰ると、おばさんが玄関の前で待っていた。
おばさんは私が今朝出したゴミ袋を持っていた。
何を言いに来たのか予測できた。
「あんた、何度言えばわかるのよ!」
彼女は私の姿を見た途端、大声で言った。
「一体何年魔女やってるのよ! 蜥蜴の干物は生ゴミじゃなくて、燃えるゴミよ! いい加減覚えなさい!」