消滅
一同はジンの話しを聞き終えた。気づけば窓からは朝の光が差し込んできており、相当の時間が経っていたことが感じられる。
時間にして数時間ほどであったが、久東はあっという間の出来事に感じた。
「結局のところ、Deveが悪い組織なのかどうなのかはよく分からないな。どうもラグラスの親父さんはヤバそうだけど」
「そこじゃない!一番ヤバいのは。わたしこれってまだ狙われてるんじゃないの?」
カレンが話し合えたジンに聞く。
「ラドンはうまくごまかしとくって言ってたけどなぁ。ラグラスの奴をうまく騙せるかはラドン次第って感じやわな」
「……そんな」
カレンはガックリと肩を落とす。
「そう落ち込むなよ。カレン。何のために一緒に来たと思ってるんだ」
カレンが今回、一緒にダンジョン大陸へ行くことになった大きな理由がこれである。今度またいつラグラス達がカレンを襲いに来るか分からないという状況下で1人で日本にいるよりも、久東ヒナタと行動を共にしたほうが安全であると判断したのであった。
「ホントに頼むわよ。あんたたち。いざとなったら私を守りなさいね」
「まぁ、ここには心強いエルフもいるんだ。大丈夫だろう」
シルマはジンの話を聞き何やら考えている。
「おい、ジンとやら。お前の話が本当ならば今このギデオンに1人Deveの組織の者がいるということになるが」
「おそらくそうだぜ。ダイア国に買われてるんだろ。Deveは戦略を売りに出して研究資金を稼いでる面があるみたいだったからな」
「……そうか。ありがとう」
シルマはお礼を言いまだ深く何やら考えていた。
「今日も、もう遅い。みんなとりあえず寝よう」
シルマはそう言い俺たちを部屋へ案内した。
****
翌日俺たちは紹介されてばかりも申し訳ないので、ベネネ畑の畑作業を手伝うことにした。
「まー、たまには体を動かすのもいいかもしれないね」
天気も良くいつになくカレンがやる気であった。
「ヒナタも頑張るよー」
本当のところを言うと昨日のこともあり、ベネネ畑が襲われていないか心配であったのだ。とりあえず俺たちが行けば警備にもなるだろうと久東は思っていた。
「この先に確かベネネ畑があったはずよねー」
丘を越え、視界一杯に緑のベネネ畑が見えるはずだった。しかし、そこにあったのは抹茶色に荒らされた土色の大地であった。
「……なにこれ……」
久東たちは言葉を失った。昨日見たはずのベネネ畑が消滅していたのだから。
「……ゆるせない……」
シルマは唇を震わせながら噛み締める。
遠くの方からピグミーがヨレヨレと歩いてくるのが見えた。アイダだった。
久東たちは急いで駆け寄った。
「大丈夫か?アイダ!しっかりしろ!」
アイダの体は傷だらけで呼吸をするのがやっとだった。
【第一のスキル Reverse】
カレンが必死で回復魔法をアイダに施す。
「すいません……シルマ様…奴らが来ました……幹部4名勢揃いでした。奴もいました……ザイルもいました……」
シルマが胸を押さえその場にしゃがみこんだ。
「大丈夫か?シルマ!」
「すまない……ちょっと私も休ませてくれ……」
****
久東たちはひとまず木陰に移動してアイダとシルマを休ませた。
「もう、大丈夫だ。客人に気を使わせて申し訳ない」
「無理もないです……収穫間近だったベネネ畑を荒らして行きました……」
カレンの回復魔法で少し話せるようになったアイダはポツリポツリ話出す。
「オイラたちはいつも通り畑作業をしていたのです。ですが、突然奴らは現れ幹部4人にあっと言う間に焼け野原にされてしまいました。悔しくて悔しくてたまりませんでした。部下は皆逃しました。ですが、私1人戦わずして気持ちが晴れるでしょうか?今までずっと畑作業を育ててきた部下の気持ち、そして部下の家族、子供、ベネネ畑を愛する者全てのプライドをかけて私1人で挑みました。結果は火を見るより明らかです。でも、隊長としていかねばならないと思いました」
アイダは泣きながら話した。ヒナタもくるみもカレンも泣いている。皆泣いている。
「すいません。話しすぎました。シルマ様、行ってはなりませんよ!畑などまた耕せばいいのです。私たちはいくらでも働きます。フォートラ一族はこの国の宝なのですから」
カレンの手のひらで横たわるアイダはカレンに向かって言った。シルマはうつむき悩んでいる。久東たちは話の全貌がわからない。
「隠したところで、シルマ様はもう分かっておられるでしょう。この襲撃の意味を。工場なんかでザイルは出てきません。ですが、ダメです。行ってはならないのです。あなたはこの国をかけてお守りしなければならないのです。歴史をここで絶やすわけにはには行かないのです」
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