シルマ
自らをエルフだと名乗るその女は立ち上がりこう続けた。
「あなた達は私を助けてくださった。私についてきてください。この国、ギデオンでやりたい事があるのですよね?」
先ほどのダイア国の男との会話を聞いていたのか俺たちが調査目的でこの国に来たことを理解しているようであった。
「外部の人間にこの国のものはやや疑心暗鬼になっている部分があります。お礼としてあなた達がスムーズにこの国で調査が出来る様にサポートいたしましょう」
ボロボロの服を着ているエルフは後についてくるよう指示をした。久東達はエルフの背中についていくことにした。
「あなた、名前はなんで言うの?」
敵ではない人間に対しては強気に出れるカレンが話しかける。
「名はシルマだ。そなた達は調査目的とは言っておったがどこかの組織に加盟しているのもなのか?」
「俺たちは日本って言う国から来たんだ」
カレンの会話を皮切りにシルマが話し出した。
「日本か。あまり聞いたことがない国だな。この国にくる外部の人間は基本的にダイア国のものがほとんどだからな」
「さっきはどうしたの?ダイア国の人と揉めてたみたいだけど」
「……それは後々説明しよう。ギデオンの調査目的ならば今やダイア国の事は外せないからな」
ヒナタはシルマの体をよじ登り、その尖った耳やなでやかな髪の毛を触っている。やめんか、やめんか、とおじさんのように注意するシルマだったがヒナタと戯れあう事はそこまで嫌ではなさそうに見えた。
しばらく山道を歩き続けると一同は小さな村についた。三角柱の藁でできた家がそこら中に点在していた。
「あぁ、帰ってきた。帰ってきた」
シルマがその村に到着するとその家の中から複数のエルフが出てきた。
「どこで何をしていたんですか?シルマ様。あなたは外出してはならないと言っているでしょう?」
「それはお前たちが決めることではないだろう。私自らも動かなければこの現状は打破出来ない」
「それは兵士に任せればいいのです」
「ハドリーがやる気なくなってるんでしょ?そんな状態の軍隊あてにならないわ。あの男が戦力のほとんどだったはずなのに」
シルマは大量に出てきたおじさんエルフに囲まれた。おじさん達はみな、アタフタとシルマの体の傷を労る。
「そんなことより、お客さんよ。私がダイア国に絡まれてる所をこの人たちに助けてもらった。ただの調査目的で1ヶ月の間ここに滞在するらしいから協力してやってくれ」
シルマは俺たちのことを簡単に説明してくれた。思っていたより早くギデオンに馴染むことができそうだ。
「……シルマ様を助けていただいたと。ありがとうございます。この王女、少々無鉄砲なところがありまして」
この王女?……。シルマはこのギデオン国の王女なのか?このボロボロな服装で、国の端で他国の兵士に襲われていたこのエルフが?
一同が驚き、シルマの顔に目をやる。シルマはにこりと笑った。
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