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夜長のガールズ

「ねー!ヒナタ、寝た?」

「ううん、寝てない」

「私も寝てないよ」

「カレンちゃん、眠たくないの?」

「眠たいけど、ちょっとおしゃべりしましょうよ」

「いいよ、でも眠くなったらヒナタ寝るから」

「あんたホントマイペースね」


ヒナタとカレンは身を寄せ合うようにテント内で引っ付きながら寝ていた。意外とダンジョンの夜は寒い。


「ヒナタ、どこであの久東と知り合ったのよ」

「河原。くーちゃん、いつも寝てるんだって」

「へー。あいつ平日の昼間から河原で寝てたの。普段何してるのよ」

「知らない。でもヒナタを強くしてくれた。ヒナタ、くーちゃんのおかげで強くなってる」

「…そうね。あいつが何者かなんてヒナタにはどうでもいいわよね」

「火野っちはどうなったのかな?ちゃんとリタイアできたのかな?」

「……そうね。先生来るまで私も側にいるっていったんだけど身動き出来ない俺といたら危ないって激怒するの。だから一緒にいたかったけど……」

「あの辺は下級クラスの人が多い所だから先生も巡回頻度は高いだろうってくーちゃん言ってたよ。巡回頻度の意味よくわからなかったけど」

「先生がよく来るところってことよ。……そうね。確かにあいつの言う通り、それなら大丈夫かな」

「火野っち心配?」

「いっつも私のこと守ってくれるからね。あんたに負けて相当ショックを受けてたみたい。私と話したくなくなるくらい……」

「……なんか、ごめんね」

「……謝らなくていいのよ。元はと言えば私が落ちこぼれてるから悪いのよ」

「……」


「私ね、回復属性でしょ。回復属性ってね、戦地でとても重宝されるの。だから、私が回復属性ってわかった瞬間、周囲の大人たち、家族とか先生とかみんな喜んでくれたの」


「……うん」


「でもね、私いつまで経っても第一のスキル、リバースしか使えないし、そのリバースもちょっとだけ治りを早くするだけ。それが分かっていくうちに周囲の大人達はどんどん離れていったの」


「……うん」


「火野ちゃんだけ。私の周りに残ってくれたのは。火野ちゃんとはスキルが出る前からの仲でね。家が近所で小さい頃からずっと一緒に遊んできたの。火野ちゃんはね、私と同時期にスキルを発動して一緒にスキル学校行って。最初は私の方が評価が高かったんだけど、だんだん逆転してね」


「……うん」


「火野ちゃんも怖かったんだと思うの。私みたいに周りから人がいなくなるのが。結果を残さないと大人はゴミみたいな目で私たちを見てくるから。だからかな、私が結果を残さなかったせいで、だんだん火野ちゃん変わっていっちゃった。昔は優しくて虫も殺さなかったんだよ」


「……それはそれは」


「私が悪いの。火野ちゃんが変わっちゃったのはわたしが弱いせい。私のせいなの……私も強くなって……今度は火野ちゃんを守りたい……」


「…… ヒナタ、昔その草食べたけど、それは食べられる草じゃないよ、くーちゃん……zzzz」


「……ヒナタ。あなたいつから寝てたの?」


カレンがヒナタの顔を覗き込む。スヤスヤと夢の中にいるヒナタ。


「全然聞いてなかったんじゃないの?私バカみたいじゃない」


ふふっとカレンが自傷する。こんな風に普通の会話をしたのはいつぶりだろう。


ぐっすりと眠るヒナタの寝顔を見る。


まだこんな幼い女の子が火野ちゃんに勝ったのかと思うと、自分の弱さがより色濃くなってくる。


「……ううん。大丈夫。ヒナタも弱かった……」


話を聞いていたのか、聞いていなかったのか。ヒナタが寝入る前に呟いた最後の寝言はカレンの心を少しだけ軽くしてくれた。

この話は夜に読んで欲しかったので夜に投稿しました。どうか皆さん夜のタイミングでこの話を読んでますように。


面白いと思ったらブクマ評価お願いします。朝起きたらポイントが増えてることを楽しみにして作者は寝ます。


どれくらい楽しみか例えると「子供の頃のクリスマスイブの夜、朝起きたら枕元にプレゼントが置いてあるかなぁと思いながら寝る時」くらい楽しみにして寝ます。


お願いします〜。

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