六代スキルの真価
「どうだ?やったか?」
久東は巨大サイクロンに飲み込まれた火野の行方を探した。
けたたましく吹き荒れる粉塵の中で、人影がゆらりゆらりと、見え始める。
「これでも……ダメなのか」
粉塵が散り、砂埃の中で赤く人型に光る物体を久東とヒナタは発見した。
「はぁ……はぁ…、マジでヤバかったぜ。お前らごときにこのスキルを使うことになるとはな」
赤く人型に光っていたのは火野であった。火野自身が炎のように燃え盛っているのだ。
久東は想定していた最悪のケースであると直感した。
「常識常識って上から目線で説教かましやがって。お前らこそ知ってるのか?六代スキルがなぜ戦闘に向いていると言われているかを」
もちろん久東は知っている。六代スキルがなぜこんなにもこの国で評価が高いのかを。しかし、その域まで火野がもう辿り着いているとは思ってはいなかったのだ。
「六代スキルはな、極めまくれば、こんな感じで火そのものに自分の体を変化させることができるんだ。つまり、俺の体は今、火。火、そのものだ。わかるか、その意味が」
六代スキルが戦闘に向いており、研究が爆発的に進んだ理由がこれである。火や水などのスキル所持者は自分の姿をスキルそのものに変形させる事ができる症例が見つかっている。
そこまでスキルを向上させる条件は未だ見つかっておらず、複合的な要因で引き起こされることとなっている。
「この状態に技名なんて無いのさ。自分でもよく分からねぇんだよ。この状態になれる時となれない時、これが分かったらノーベル賞もんらしいがな」
火野は燃え盛る自らの掌を見つめる。
「こんなもん……本物のバケモンじゃねえか。この状態、いかなる攻撃も効かないこの状態の内に、お前らを倒す。カレンもあんな暑いところにいつまでも入れておくわけにはいかねえしな」
カレンは炎で出来た大きなボックスの中で守られていた。あのサイクロンから守ったのだろう。
【第一のスキル 火砲】
【第四のスキル 火動】
さっきとは比べものにならないほど早い、火の玉、そして火のレーザーが2人を襲う。
「ヒナタ!スキルを!」
「うん!」
【第三のスキル 風壁】
【第一のスキル 風巻】
火の攻撃は風壁を貫通し、久東の右肩をそのまま貫通していった。ヒナタの放った攻撃は虚しく火野の体を通り抜けていく。
「くーちゃん!!大丈夫?!!」
ヒナタが久東に駆け寄る。右肩から血が出てきている。
「……ヒナタ。俺は大丈夫だ。それよりも作戦を続けるんだ。俺たちはまだ負けてない。このパターンの作戦もちゃんと頭に入っているよな?」
「……うん、分かった!」
久東は火野が火そのものになれる可能性を5%くらい考えていた。スキルについて勉強してきた久東が、火野と最初に対峙した時、心配した点はそこだったからだ。
火野の圧倒的なまでの力を見せられてもなお、ヒナタと久東にはまだ打つ手が1つ残されていた。
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