大人の決意
「……お前たちには欠如しているよ」
「は?なにが?」
火野はズボンについてあるチェーンをいじくり回しながら久東の話を聞いている。
「常識だ。お前たちスキル所持者、特にお前みたいなスキルに溺れてるやつに欠如しまくってるものだ」
火野は弄り回していたチェーンから手を離し、手を上げた。
「意味わかんね。いらねーの。おじさん、申し訳ないけど俺たちスキル強者にとって常識なんかなくてもいいの。強ささえ有れば正義なんだから」
「……そうか。それは間違ってる。強い人間こそ常識が必要なんだ。それをお前は知らない」
「もー、御託はいいよ。おじさんの話はなげーわ。間違ってるかどうかは俺に勝ってからいいな!」
【第一のスキル 火砲】
【第三のスキル 風壁風壁風壁】
ヒナタがなんとか火野の火の玉を食止める。今まで何発も打ってきた火砲があちこちの地面に落ち、まるで火の水たまりのように点在している。
「さっきからお前口ばっかでヒナタに守ってもらってばっかじゃねーか!なんでヒナタが風のスキル使えるかは知らねーけど、お前の方が役に立ってねぇぞ!」
「うるさい!ふりょー!くーちゃんを馬鹿にするなー!」
【第一のスキル 風巻】
ヒナタの放った風巻は以前のものと比べて遥かに大きくスピードも増していた。
「これくらいの攻撃で俺に勝とうなんて100万年早いんだよ」
ステータスの差があるのか、それとも戦闘慣れしている火野にそもそも分があるのか。軽々とその風巻を避けていく火野。
「ヒナタにしちゃあ、頑張ってる方だが、俺がお前に負ける事はねぇんだよ」
【第一のスキル 風巻】
風巻を地面に打ちつけ砂埃を舞わせた。そのうちに久東とヒナタは一旦身を隠すことに成功した。
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「よく覚えてたな。ヒナタ、偉いぞ。緊急時の逃げ方」
久東はこんな事もあろうかと、もしやばそうになったら風巻で砂煙を起こし逃げるよう教えていた。
「ヒナタ、偉いでしょ!馬鹿じゃないんだよ!」
火野の幾重にも重なる攻撃、落ち続ける火の玉、いつしか火の壁内部は高温のサウナのようになっていった。
「……でも、くーちゃん、なんとかしないと。私たち殺されちゃう」
「大丈夫だヒナタ。とりあえず水をコピーしてペーストするんだ」
「……うん」
ヒナタは久東が差し出したペットボトルをコピペしまくり、その中の水をたらふく飲んだ。久東もついでに飲む。
ヒナタのスキルのおかげで食料、水など消耗品は一個だけ持ってきておけばいいのは楽だった。そのおかげで色々他のものを持ってこれたのだから。
「あー!生き返った!さすがくーちゃんだ!私がコピーできるのはステータスだけかと思っちゃってた!」
「忘れちゃダメだろ。お前のスキルだぞ」
「えへへ」
「……いいかヒナタこれから俺の言う事をよく聞くんだ、火野は格上だが付け入る隙は何点かある……俺は火野を倒したい……大人として負けられないんだ」
「うん!ヒナタもバカにされてムカつくもん!」
「よし、じゃあ、今から作戦をだな」
作戦を伝えようとしたヒナタが久東とおでことおでこを引っ付ける。
ヒナタは久東の作戦を理解するため、久東の思考をコピーした。
「ははっ、そうかお前にわざわざ説明する必要はなかったな。思考もコピーできるんだった」
「くーちゃんも忘れてる!」
知らず知らずのうちに少しづつ成長するヒナタ。
こんなところで、殺されるわけにはいかないのだ。
保護者代理として大人として久東は火野を倒す事を決意した。
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