フタリ。
女は、言葉を発し終えた後に、男から指輪が目の前に差し出されていたことに気づく。
男は、そんな女に言う。
「…俺は、俺だよ。以前の俺も、今の俺も俺は、俺。
だが、変わったことを君が聞いてくれたから言うけど、前の俺には多少ムリがあった。見てくれに異様に拘り、頭に考える血が、うまく回らないくらい体を鍛え上げ、それにタイトな服を着て、背伸びして背伸びしてイイ車に乗り、どこか自分を窮屈にして前は君と接していたかもしれない……。」
女は、そう声を振り絞って言う男の声を聞いて、
「…はめてよ。指輪」と言い、急に、それは明るい明るい顔になる男を笑った。
指輪が女の手に、はめられ、女は、それでも言ったのだ。
「今のままの、アナタもいいけど、なんか、アナタ自身は前みたいに、もうちょっとシュッとシャープな見た目でもいいかな♪」と。
そう言われ、慌てふためく男を女は、また笑うのだった。
(この後の展開は、皆様の御想像にお任せします…。)
【1つの幸せの扉が閉まってしまった……、そうしたら、また一つの新しい扉が何処かで開いているのよ♪でも、私たちったら、いつまでも、その閉じた扉ばかり見ているのよね……。H.K】
END.




