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Travel the world  作者: 伊島蒼
愛を謳い哀を抱け
4/12

魔法を使うよりも殴る方が楽



今までに魔法を使えるゲームは数多くあったが、このトラベルの魔法は中々にやりづらい。

先ず第一としてトラベルでの魔法とスキルは「使う」と思考すれば発動待機状態になる。それから、それぞれに合ったアクションを取ることで魔法とスキルは発動する。

今回使おうとしている魔法であれば、発動待機状態にした後に詠唱を行い、狙う相手を定めてから発射しなければならない。中々に手間だ、一人ならば尚更である。まあ慣れてくれば待機状態にするのと詠唱を始めるのはほぼ同時に出来そうだけど。


「グギャァ!」


一体のゴブリンが錆びた剣を手に突進してくる。それをステップで避け、杖でゴブリンの手を叩く。ありがたいことに簡単に剣を落としてくれた。


「焼き尽くせ『ファイヤ』」


「ギギィッ!?」


こちらに迫っていたもう一体のゴブリンに魔法を放つ。顔面に火球がクリーンヒット、土の上に倒れる。見た感じだともう死んでそうだけど、まだシステム的には生きているらしい。取り敢えずは放置だ。


「ほいっと」


「グギッ!?」


剣を落とした方のゴブリンには杖の一撃をお見舞いしよう。顔面を打つと、先程とは違う手応えを感じながらゴブリンはノックバック。これはクリティカルが入ったかな?

この隙はありがたい。

素早くしゃがんで足下に落ちていた錆びが浮く剣を手に取る。そのまま立つ勢いを利用しながらゴブリンの眼球へ。

土の一粒まで変態的なまでに作り込んでいるこのゲームのことだ、どうせ錆びた剣だとロクに刃は通らないだろう。そんなわけで比較的柔らかいと思われる眼球へ攻撃したのだ。結果は上々、粘土に棒をブッ刺したような何とも言えない感触と共に剣は埋まっていく。


「ガッ、ギギッ!」


「あんまり気持ちの良いものじゃないなぁ」


そうぼやきつつも、剣を奥へ奥へと進めていく。途中、何か硬いモノに当たり進まなくなったので、今度は捻ることにした。


「なんか性向値がどんどん下がっていきそう」


性向値とはプレイヤーが取った行動によって加算、減算される数値のことだ。わかりやすく説明すると、良いことをすれば増えて悪いことをしたら減る数字のことだ。上限や下限は無いようで、悪いことをし続けると余裕で0を振り切るらしい。数値がマイナスになっても良いことはなく、NPCとのやり取りやデスペナルティにも影響が出ることからあまり推奨されていない。最近ではお仕置きシステムも実装されたらしく随分大変なことになってるんだとか。


閑話休題。


少しネジネジしていると、ゴブリンは短い悲鳴を上げて消滅した。


「ギ、ギギィ……」


元々僕を囲んでいたゴブリンの数は三体だったのだけれど、その内攻撃してきたのは二体だけだった。残りの一体は何をしていたのかと言うと、僕が魔法をぶっ放した辺りで動きを止めてビビっていたのだ。他のゴブリンとは違って少しだけ頭が良さそうだけれど、どういうことなんだろう。個体差ってやつなのかな?


「焼き尽くせ『ファイヤ』」


でもごめんね、逃すつもりは無いんだ。諦めて経験値になってくださいな。

火球は狙い通りゴブリンの足を焼き、顔面から盛大にスライディングしてくれた。可哀想に。


「君には簡単な検証に付き合ってもらおうかな」


残念ながら君に拒否権はない。

今回検証をするのはクリティカルの条件。確率で起こるものなのか、攻撃する角度で起こるものなのかを知っておきたい。


「せいやっ」


特に意味は無いけれど、なんとなく声を上げながら杖で殴打。角度を意識してみての攻撃は、確かな手応えが残る。


「そいっ」


二度目も手応えあり。しっかりクリティカルは出ているようだ。


「とりぁっ……あ」


三発目を叩き込もうと振りかぶる間にゴブリンは散る。先程の一撃で倒してしまったみたいだ。

残念、後一度は試したかったのに。あ、そういえば放置してるやつがいたんだった。


「とりゃぁ」







あれから数度の戦闘を経てついに第一の街にたどり着いた。

途中やけにお腹が空いているなぁと思えばやはりリアルなこのゲーム、しっかり空腹ゲージは存在している。あることは知っていたけれどステータス画面やそこらには表示されておらず、とはいえ完全に失念していたのは僕が悪い。身体の反応が鈍いというよりかは、力が抜けるという表現が正しい感覚に襲われながら素早い犬型モンスターと戦うのは大変だった。ただ幸いだったのは空腹ゲージのことを考慮してか森の中には肉をドロップするモンスターもいたことか。あのまま何も食べずにいれば、いずれ完全に動けなくなってその後餓死するんだとか。


閑話休題。


せっかく始まりの街的立ち位置にあるこの「アインスフィン」に着いたのだ。取り敢えずリスポーン地点は更新しておきたい。


「すみません、あなたは旅人さんですよね?」


「んん?」


案内板のような物がないかと、広場に向けて足を進める途中、地味な町娘といった服装の少女に話しかけられた。誰ですかね?




魔法は詠唱がなくても、魔法名だけでも撃てます。しかし、詠唱をするかしないかでは威力が変わるので状況によって使い分けるのが最良です。

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