プライドとの戦い
今ではもうレトロゲーと呼ばれる、モニターの画面と向き合ってゲームをしていた時代の作品では、キャラの見た目を自由に変えられるものは少なかったらしい。変えられても十数種類の中から選ぶだけという何とも寂しいものだったとか。まあ今でもストーリー重視の為にキャラの見た目を変更できない作品は多くはないがあったりするのだが。
今回僕が始めることになった「Travel the world」こと「トラベル」は、 MMORPGである。これは、同時に多数の人間が同じ空間でプレイするゲームを指す。つまり、必然的に自分が使うキャラの見た目は変更できるだろう。同じ顔が何百、何千人もいたら気持ち悪いだろうし。
少し弄ってみた感じだと、容姿の変更パターンはほぼ無限にあるようだ。選択というよりもはや調整と言えるレベルにある。さて、ここで問題が発生する。それが何かというと。
―――容姿をイケメンにするか否か、である。
くだらないことだと思うことなかれ。これは何気に重要だったりするのだ。
イケメンであれば、電脳世界を闊歩するには丁度いいだろう。ましてや剣と魔法のファンタジー世界、絶対にその方が映えるだろう。しかし、それだと虚しくないだろうか。いや、そう感じない人であればいいのだけれど、少なくとも僕は悲しくなってしまう。現実との差異で死にたくなってしまう。
対して、モブ顔であれば僕の心は安定するだろうけど、どこか残念な感じが抜けないと思うんだ。想像してみてくれ、何処にでもいるような、平凡な顔立ちの男が、剣を振り魔法を使い、魔物を華麗に倒し決め顔と台詞。笑えてこないかい?コイツ平凡な顔なクセしてイキッてんなとか思わないかい?僕だけなのかなぁ……。ちなみに、現実の顔をそのまま使うのは論外である。
まあそれは置いといて。せめて路線を敷かなくては、ゲームが始まらない。起動して、最初に定められたこのアバター作成、こんなところで躓いていたのでは先が思いやられる。
……結局、といえばそうなのだが、キャラの容姿は悪くないものになった。ここまでの時間、二時間である。昼ご飯を食べていないから、一旦休憩したい。
そんなわけで、その他の設定はチャチャっと決めさせてもらいました。その結果が以下の通りである。
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PN:キッド
LV:1
JOB:魔法使い
所持金:1000
HP:10
MP:30
STR:10
VIT:5
DEX:10
AGI:25
INT:25
LUC:5
スキル
なし
魔法
火魔法(LV1)
水魔法(LV1)
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むしろ容姿などチャチャっと決めて、こちらの設定に時間をかけるべきなんだろうけど、まあいいだろう。僕はハイスピード魔法使いになるんだ。
ひとまずキャラメイクも済んだことだし、一旦現実へ帰ることにしよう。そうめんが僕を呼んでいる。
そうめんは美味しかったです。
キャラメイクでは性別は変えられなかったりします。それでも、限りなく女に近い容姿は作れるので、男の娘は多かったり少なかったり。