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Travel the world  作者: 伊島蒼
愛を謳い哀を抱け
10/12

レベリングの為に超特急②



リアルタイムアタック……とは言っても今回のはただの待ち合わせだけど、RTAで大切なことは「慣れ」だ。

ゴールまでどれだけミスを減らし、どれだけスムーズに進めるかを鍛えるには、そこのステージを感覚的に覚えるのが手っ取り早い。

しかし、今回は完全に初見である。ならばどうすればいいのかというと、今までの経験を基に推測と決断をすればいい。つまり初見でのRTAは完全にプレイヤースキルがモノを言うよってこと。


「せいっ!」


すれ違う瞬間に泥の塊みたいなモンスターの首筋を剣で斬りつける。クリティカルによってそれなりに大きいダメージと共にノックバックが発生。その隙にそのまま走り抜けて行く。

この泥の塊みたいなモンスターは這い寄る泥(マッド・ストーカー)という名前であり、足が遅いのが特徴だ。なので、多少ヘイトを集めてもそのまま走り抜けて行けば簡単に振り切ることができるのだ。


第二と第三の街を繋ぐこのエリアは足下が泥で覆われている、とは言っても全ての地面が泥で出来ているわけではない。それでも半分以上は泥だ、とても走り難い。

リキャストタイムが終了した瞬間に「アクセル」を使用して速度を維持しているけれど、ずっと集中していないと泥に足を取られて転んでしまいそうだ。


「うぉっとと」


前方から飛んできた泥の塊を紙一重で避ける。しかしその行為のせいで完全に態勢を崩してしまい泥の中に顔面をダイブ。

……うん、思ったそばからこれだよ。

ゲームの中とは言え現代っ子な僕は泥の中に顔を浸すのはかなり嫌だ。しっかりと泥の柔らかい感触も再現しているので尚更だ。こんなときにリアル過ぎるこのゲームは嫌になるね。

マッド・ストーカーめ、この恨み晴らさでおくべきかー。


「『ファイヤ』」


杖を向けて放った火球は泥の塊を飛ばしてきた蛙モンスターにしっかりと直撃した。火に弱いのか知らないけれど、一発でドロップアイテムになる。ついでに追い付いてきたマッド・ストーカーに剣を一閃、クリティカルが入り一撃でドロップアイテムに。


「……これって何に使うんだろ」


それはマッド・ストーカーから落ちた泥の塊である。正直、拾うのにも少し抵抗があるし、そもそもただの死亡エフェクトの一部だと勘違いして見逃してしまいそうだ。


「泥団子、泥人形……うーん、煉瓦とか?」


まあインベントリにはまだ余裕があるし取っておいても大丈夫かな。いつか使うときが来るかもしれないし。








跳んで、走って、斬って、逃げて。

踏んで、転がって、避けて、逃げて。

そんなことを三十分近く繰り返している内に無事、エリアボスの居る中央部までやってきた。


そのフィールドは大きな岩で囲まれ、クロウベアーの時と同じように円形で出来ていた。ただ今回のフィールドは前回と比べてとても広く、隠れる場所もない。足場も泥の所為で悪い為、戦闘が少し不安になる。

避けるのはまあなんとかなるけれど、問題なのは攻撃の方だ。流石に攻撃してもダメージがゼロになるなんてことは無いだろうけど、それでもダメージ量が微々たるものであったならかなり時間が掛かるだろう。そうなったらまず約束の時間には間に合わない。


……やっぱり速度重視じゃなくて確実性を求めるべきだったかな。そもそもボスの情報すら集めなかったのは馬鹿だったと思う。


「こういう時に敵のHPゲージが見えないのは辛いなぁ……ってその前に敵の姿も見えてないか」


隠れる場所の無いはずのこの円形フィールドで、どこを見渡しても敵はいない。僕の経験……というよりも大体のゲームでは三パターンくらいに分けられる。

上からか、下からか、それとも見えないだけか。流石にこんな序盤でステルス能力を持ったモンスターが出るとも思わないから、実質二択だと思って良いだろう。


取り敢えず入口に突っ立っていても時間を無駄に浪費するだけなので中央まで進んで行く。一応、いつどこからボスが現れてもいいように警戒しながら。

しかしその警戒も必要なかったらしく、親切な事に下から来るぞ、と言わんばかりに地面を揺らす演出をしてくれた。




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