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まさか、この私が敗れるとは!(演技)と捨て台詞を残してから300年、魔王な俺が新人冒険者になったワケ  作者: 藤谷ある
田舎暮らし準備編

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4話 死んだら驚いた!

※前回までのあらすじ


 聖剣が刺さったまま寝てしまった!

【4話】死んだら驚いた




 ピピピッ……ピピピッ……ピピピッ……。



 耳元で何かが鳴り響いている。



 何の音だ?



 あ……そうだ。

 俺、目覚まし掛けたんだった。



 そのことを思い出して、ゆっくりと瞼を開ける。



「んん……」



 ぼやけた視界が次第にはっきりとしたものになってくる。

 そこは見慣れた天井。

 自分の部屋だ。



 俺は、耳元でけたたましく鳴る魔法時計を止めると、半身を起こした。

 そのまま部屋の中を見回してみる。



 眠りに就いた時と何ら変わりは無い。

 少々、家具に埃が積もっているくらいだ。



 もう三百年経ったのか……?



 そう思って魔法時計の表示を見ると、確かに三百年が経過していた。



 寝てしまうと案外、早いものだな。



 と、そこで、三百年前の寝入り時の事を思い出す。



 そういえばあの時……急に恐ろしいくらいの眠気が襲ってきて、そのまま寝てしまったんだった。



 そんなんで、よく三百年も寝れたもんだ……。

 つーか、あの眠気の正体は一体なんだったんだ?



 可能性として考えられるのは、そんなに多くない。

 恐らく……というか、ほぼアレのせいだと思う。



 聖剣だ。



 それをこの身に受けた時は蚊に刺された程度にしか感じなかったのだが、どうやらそこは聖剣らしく、極微量ではあるが退魔の力があるらしい。



 眠気の原因は、そのせいだと思う。



 そう、聖剣といえば、刺さったまま寝てしまったんだよな。

 さすがに今抜いとかないと、また眠くなって抜きそびれてしまう。



 そう思って胸元に手をやったのだが……。




「ん? あれ……? 無い……」




 刺さったままだったはずの聖剣が無い。



 どういうことだ?

 寝ながら無意識に抜いた?



 いや、それならその辺に落っこちててもおかしくない。

 ベッドの周りや下を見回しても見つからなかった。



 寝ている間に誰かが抜いた、ということも考え難い。

 俺はこの魔王城に一人暮らし。

 城内に自分以外の気配は無い。

 しかも今は地下に潜ませている状態なので何者も侵入できはしない。



 じゃあ、どこにいった?



 俺は再度、自分の胸元に目を向け、聖剣が刺さっていた場所を手で触ってみる。



 傷跡も何も無い。



 だが、妙な違和感がある。



 それは聖剣が刺さっていた場所ではなくて……自分の手の方。



 自分の手にしては、なんだか小さいような……。



 手だけじゃない。

 良く見れば体も細くて、縮んだ感じがする。



「……!」



 異変を感じた俺はベッドから飛び起きると、部屋の隅にある鏡の前に立つ。

 そこに映し出されていたのは、線の細い――



 人間の少年だった。



「これが……俺??」



 呆然としてしまうのも無理はない。

 そこには以前の威風堂々とした魔王の姿は無く、頭にあった二本の角すら無くなっていたのだから。



 一見すると繊弱な体躯を持った極普通の少年。

 しかし、その身には、ちゃんと魔王としての力が宿っている。



 確かに俺の体だ。



 こんなことになってしまった原因は多分……これも聖剣のせいだ。

 三百年かけてジワジワ退魔の力が浸透したのだろう。



 そうはいっても影響は見た目だけで、魔王としての力は変わらずにある。



 ということは――



 どうやら聖剣そのものを俺の体が取り込んでしまったらしい。

 そりゃ探しても見当たらないわけだ。



 で、取り込んだ聖剣だが、意識下で探ってみると完全に自分の一部になっているようで、これ以上体が縮むこともなさそうだった。



 面白いこともあるもんだ。




 しかし、これは考えようによっちゃ、ラッキーじゃないか?




 三百年経って魔王の記憶が人間の間から忘れ去られ、勇者とやり合うことが無くなった環境でも、見た目がそのままでは目立ち過ぎて外での生活はできない。



 だが人間の姿を手にいれた今、そんなことを気にせず過ごすことができる。

 予てから欲していた自分の為だけの人生を歩むには最高の状態だ。



 小さな町の外れに一軒家でも借りて、のんびりと暮らす。

 人恋しくなったら、たまに町へ出たり。

 遊び疲れて家に帰れば、可愛いペットが待っている。



 そんな悠々自適とした生活。




「いいじゃないか」




 思い立った俺は、早速出かける準備を始めるのだった。





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