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まさか、この私が敗れるとは!(演技)と捨て台詞を残してから300年、魔王な俺が新人冒険者になったワケ  作者: 藤谷ある
田舎暮らし準備編

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29話 囚われの少女

※前回までのあらすじ


 盗賊達を捕縛した!

【29話】囚われの少女




 捕まえた盗賊をどうしようか?

 町まで戻るのも億劫だな。



 なんて考えていたら、たまたま街道を行く衛兵隊を発見。

 彼らに身柄を引き渡すことにした。



 しかも、その衛兵が言うには、この盗賊達は懸賞金が掛けられている指名手配犯だったらしく、あとでギルドにその報酬を受け取りに来るようにと言われてしまった。



 いくらかは詳しく聞けなかったが、臨時収入ゲットである。



 そんなわけでこの件はひとまず落着。

 物件も取り戻すことができた。



「申し訳ありませんでした……マオ様。私が不甲斐ないばっかりにご迷惑をおかけして……」



 ルーシェが心底申し訳無さそうに言ってきた。

 多分、魔法の途中で倒れてしまい、俺に担がれたことを言ってるのだろう。



「ん……大した問題じゃない。結果が上手くまとまればそれでいい」

「! マオ様が、私を褒めて下さっている!?」

「どうして、そう捉えた!?」



 どこをどう理解すればそう聞こえるのか謎だ。

 ただのポジティブ思考なだけかもしれないが。



「それはそうとしてだ……」



 俺は盗賊から救出した少女に意識を向ける。

 彼女は今、俺達の目の前に立っているのだが……その……なんというか……。



 状況がおかしい。



 なぜか少女は先程から俺の胸板に手を当てたままなのだ。

 しかも、当人はそれが普通の状態であるかのように自然な感じでいる。



 さすがに、このままその事に触れないわけにもいかないだろう。



「あ、あの……少々尋ねたいことがあるのだが……」

「あっ……そうでした」



 彼女は気付いたような声を上げるが……。



「あ、ありがとうございました。助けて頂いて……」



「いや、それはまあ、別にいいんだけど……そうじゃなくて、この手は一体、どういう意図があってのことかと聞いているのだが……」


「え……?」



 彼女は最初こそぼんやりとしていたが、そのうち自分がしていることにようやく気が付いたようで、ハッとなって手を引っ込める。



「あっ!? っと、ご、ごめんなさい!」



 彼女は頬を紅潮させ、しどろもどろになりながら答える。



「な、なんていうか……その……そうしていると落ち着くというか……自然と手が行ってしまうというか……私自身にもその行動の意味が分からないのですが……なんとなく、そうなってしまうんです……ハイ」



 なんとなくって……。

 そんなんで触られると、ちょっとモヤモヤしてしまうんだが……。



「そうそう、怒りっぽい私にしては珍しく、自制心を持って対応してたんですからね?」



 ルーシェがプリプリとしながら割り込んでくる。



「私だってそんなことしたことないのに、ナチュラルにマオ様に触れていてムカムカしていたところなんですよ。でも、もう我慢の限界です。マオ様、この人、不敬罪で死刑でいいですか?」



「すぐに殺そうとすんな!」



 そのやり取りを聞いていた少女は本当に殺されるんじゃないかと思って、



「ひっ……!?」



 と、小さな悲鳴を漏らす。



「ともかく、その事は今はおいといて……どうしてあいつらに捕まってたんだ?」

「えっ、私ですか?」



「他に誰がいる」

「そ、そうですね……。えっと、私は邪竜退治・・・・に向かってたところなんですが……その途中で乗っていた馬車が盗賊に襲われまして……。そのまま囚われてしまったんです……ハイ」



「ん……んん?? 今、邪竜退治……とか言わなかったか?」

「ええ、言いました。邪竜マリーツィアの討伐です、ハイ」



「……」



 俺はちょっと目眩がしたような気がした。



 邪竜マリーツィアと言えば俺達が今から倒しに行く対象と同じ。

 それをCランク、Dランクの盗賊に捕まってしまうような奴が倒しに行こうだなんて、正気の沙汰ではない。



「ちょっと待て……本気で言ってるのか?」

「ええ、一応本気なんですが……でも、やっぱり無理がありますよね……」



 少女は自嘲する。



 とりあえずは自分が倒せる相手ではない、とは自覚はしているようだ。

 それなのに、どうして?



「無理と分かっていて挑む。その理由はなんだ?」



 すると彼女は一瞬、言い淀む。



 そして――



「それは……私が〝勇者〟だからです。ハイ」



「はい??」



 俺は思わず、気の抜けた声を漏らしてしまっていた。



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