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まさか、この私が敗れるとは!(演技)と捨て台詞を残してから300年、魔王な俺が新人冒険者になったワケ  作者: 藤谷ある
田舎暮らし準備編

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11話 勇者疑惑

※前回までのあらすじ


 魔王の俺がSSSランクで、勇者じゃないかと噂が立ち始めた!

【11話】勇者疑惑




「最初は鑑定鏡の不具合かと思っていましたが……こうまで皆の結果が同じだと、間違い無いのだと思います。やっぱりあなたは……勇者様なのではないかと……」



 受付嬢が有名人を見るような目で俺を見ている。



 段々、大事になってきたぞ……。

 だがしかし、鑑定鏡が爆発しただけで勇者認定だなんて、そんな単純な話でもないだろ。



 他にも勇者だと決定付ける証拠みたいなものがあるはずだ。

 例えば体のどこかに紋章を形取った痣があるとか、そういうやつ。



 そこへ行くと俺には勇者っぽいものが微塵も無いからな。

 となると、勇者である証拠が無いことを提示してやれば、自ずと疑いも晴れるだろう。



「何かの間違いだと思うぞ。それに鑑定鏡が爆発しただけで勇者って断定するのは些か早計じゃないか? 普通、勇者には勇者だという証のようなものがあるもんだろ」

「証……ですか」



 すると彼女は考え込むような仕草を見せる。



「あ、そういえば、勇者様は聖剣を握って生まれてくると聞いたことがあります。最初は手の平に収まるくらいの小さなもので、体の成長と共に大きな剣になるのだとか。ということは、聖剣をお持ちじゃないですか?」



「いいや」



 あ……。



 答えたあとにハッとなった。



 そういえば俺…………聖剣、持ってんじゃん!

 体の中に。



 いやあ、でもこの中で良かった。

 腰にぶら下げてたら有らぬ疑いを受けるところだったぞ。



「残念だがこの通り、普通の剣すら持ってないんだ」



 俺はマントを広げて丸腰であることを見せる。



 これから冒険者を始めようっていう人間が武器一つ持ってないのもどうかと思うが、今までそんなものを必要としてこなかったから、ここに来るまでそのことに注意が向かなかった。



 早々に形だけでも剣を買っといた方がいいかな。



「そうですか……」



 受付嬢は、ぼんやりと呟いた。

 俺はそんな彼女の姿を見ながら思う。



 勇者はそこまで待ち望まれていて、何と戦うのだろうか……と。

 そこから自ずと湧き上がってくる興味は、魔王の存在は今のこの時代ではどんな扱いなのだろうか? ということ。



 ちょっと探りを入れてみるか。



「そういえばさっき、勇者は世界が厄災に見舞われる時に現れると言っていたが、今どこかでそんなような不穏な動きでもあるのか?」

「いえ、特にそのような話は聞きませんが……」



「じゃあ、その厄災とやらが起きてないのなら、勇者は現れていないはずだな」

「そ、そうですね……」



 彼女は、言われてみればそうだ――という感じで、少し残念そうにしていた。



「というか、厄災とは、そもそもどういったもののことを言うのだ?」

「すみません……それは私も経験したことが無いので分からないです。伝説として聞くだけですから。そういえば勇者様は大昔、魔王と戦ったという言い伝えが残っていますので、そうなると、その魔王というのが厄災なのかもしれません」



 俺、厄災扱いかよ。

 ってか、魔王という存在は三百年経っても尚、人間の記憶の中にはまだ残っているようだな。



 だが、しっかり死んだふりした甲斐あって、大分印象は薄まっている雰囲気がある。



「でも、世界にはSランクの方達でも手こずるような事案も存在しています。そんな時に勇者様がいてくれたらな……と思うことはあるんですよ」



 受付嬢は、しみじみとそう言った。



「そうだな」



 と、他人事のように言いつつ、俺は思う。



 ステータスが表示されなかったり、鑑定鏡が爆発したり……。

 これ以上、冒険者登録を進めても大事になるだけだ。



 ならば、ここが引き時だろうな。

 金を稼ぐ方法だって、これだけって訳じゃないだろうし。



 別の方法で隠遁生活を目指そうと、方向転換しようとした時だった。



「あっ、すみません……登録手続きの途中でしたね。うーん……適正値さえ分かればなんとかなるのですが……」



 まだ彼女は諦めてなかったらしい。



「そういえば、適正値が計測できないことに心当たりはありますか?」

「いや」



 心当たりは大有りだが、言えるはずもない。



「困りましたね……。これは私見ですが、相当高い数値が出るような気がしています。なので何か良い方法があればお手伝いしたいのですが……」



 相変わらず彼女は親身になって考えてくれている。

 とても有り難いことだ。



 だが、それを良く思わない奴がこの場に一人いた。



「けっ、そんな弱そうな奴が高い数値なんて出るものか。鑑定鏡が爆発したのだって、大方、変な呪いでもかけられてるんだろうよ」



 それは俺がこのギルドに来てから何かと因縁を付けてきた冒険者。

 バルドだった。



「なんなら、それを俺が証明してやるよ」

「?」



 そして彼はこう提案してくる。



「俺と勝負しろ。お前が勝てば冒険者の適正有り、負ければ適正無し。すごく分かり易いだろ?」



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