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チートスレイヤーズ!!  作者: 堀井ほうり
影島アリスの非情/非日常
3/40

第2話「いつかブーメランみたいに返ってくるのかもねー」

 チート討伐完了。

 待機用異世界「バーガーランド」内、ジャックバーガー異世界店にて。


「毎回、思うんだけどさ」

「ん?」


「チートチートって馬鹿の一つ覚えみたいにさー。よく言うなぁ、って。ん、ポテトうまっ!」

「だなぁ。なんだろうなぁ。まぁ、転生して強くなったりして、そんで異世界っていう環境にいると万能感? みたいなのが出ちまうんじゃねぇの? ……よく食べるなお前」

「最初から強いってズルいよねー。もぐもぐ」

「それがウリなんだろ。転生する前の人生で劣ってたりするのは前振りだよな」


「あとさー、もぐもぐ、そういうヤツらって自分がすごいってこと割と隠すよね? もぐもぐ、一人で十分戦えるくせに、もぐもぐ、仲間がどーのとかスローライフだとか」

「そりゃまぁ……ネタ切れ防止とかネタ被り防止とか、いろいろあんだろ。あ、すいませーん、ポテト追加で。あとコーラ」


「大変なんだねー。あー、こうやってあたし達が喋ってるのもいつかブーメランみたいに返ってくるのかもねー」


 はいはーい、今日はそのへんにしておこうか。


「きゃー、ぬいぐるみが喋ったぁ!」

「いや、いつも通りだろ」

「ピエロをよりファンシーにした感じの、でもあんまり可愛くない小さなぬいぐるみが喋ったぁ!」


 はいはい、説明ありがとね。アリスも龍之介もお疲れさま。


「むぅちゃんがくれたジャクバ本店限定レインボーカラーのストラップ付きぬいぐるみがー!」


 うんうん、アリスはほんと、そういう所がアレだよね。

 じゃあ、まずは恒例の……テケテテーン! げんぶつしきゅう~!


「わーい! お金だぁ」

「……別にいいんだけどよ、なんでこれ茶封筒に入ってんの?」


 いや、それは一応ね、ちゃんとしとこうかと思って。明細はないけどさ。


「あとさ、今どこから出した? ぱっと空中に現れたように見えたんだけど」

「ひーふーみー、二万三千七百えーん! 嬉しいっ! ジャッキー好き! ラブ!」


 あはは、あんまり強く握りしめないでね。綿出ちゃうから。

 それと龍之介、あんまり詮索するの禁止ね。ボク、まだキャラ定まってないっぽいし。


「定まってないってなんだよ。メタ発言ぽいこと言えば許されるとか思うなよ?」


 わぁ、怖い怖い。今時の若者はすぐキレるってほんとだね。なーんて、そんなこと言う大人になっちゃダメだよ~?


 うーん、今日倒したやつでちょうど二十人目だね。いいよいいよー。じゃんじゃんやっちゃって! 

 チートを倒すたびに現金支給! たくさん倒したらどんな願いでも必ず一つ叶えてあげちゃう!

 チートを倒してくれたらボクはうれしい! ウィンウィンだよね~。


 でもね、あんまり無駄遣いしちゃダメだよ~? 


「はーい」

「おう」


 よしよし、それじゃあ反省会終わりっ! 会計は済ませておいたから、二人とも自分達の世界へレッツらワープ~!



 ジャッキーの掛け声と共に、あたし達は再びまだらの渦に包まれる。

 完全に視界が遮られている間に、あたしは制服に付いた埃を払ったり、下ろしていた髪を束ねたりする。すっかり慣れちゃったなぁ、つまらないファンタジーみたいな非日常。


 向かいに立っているクズ村は腕を組んでうつむいている。おやおや、何か悩み事かな?

「…………」

 直立不動で寝ているだけだった。なんだコイツマジか。


 そして感覚的には三分くらいの時間が経って、あたし達は呼び出される瞬間に存在していた時刻、地点に帰還する。

 木曜日、四限目、二年C組の真ん中辺りの席。

 退屈な退屈な、倫理の授業中だった。



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