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短編類

囚われの破壊神

 

 私は別の世界から来た。

 神への魔法が使いたいと言う願いは聞き入れて貰えたが、実際には叶わなかった。


 何故ならダンジョンに囚われ、魔力製造タンクとしてダンジョンと融合してしまったからだ。


 生きた空間とも言える謎多きダンジョンと私の融合は一般ダンジョンとの離別を意味した。


 昔の肉体はダンジョンコアの中で変質中。

 青く透明に変化している途中のグロさ全開。ダンジョン内部の冒険者の末路で耐性は付いたけど。


 地上では特殊ダンジョンとして扱われているらしい。実際に特殊だ。


 ダンジョンは生物を喰らう。その魂を。

 感情を伴うエネルギー、魔力は不要だ。結晶化させて眷属に埋め込み生物の魂回収と自己防衛戦力とする。しかし、成長の為のエネルギー回収は微々たるもの。時に人間によって活用されもする。


 融合した最初は隠していたが、眷属を大量に作成し、地上へと放った。

 作れるのは元の材料があるものだけだ。つまり、地上のモンスターを集めることが第一。ついでに近くの村も襲わせた。

 ドラゴン素材さえあればコピーして放つのだが、今はダンジョンに迷いこんだゴブリン程度。

 収穫はキラーアント、オーク、人間、ウルフ、熊。

 ゴブリン二千の損耗7割、膨大な魔力のブーストがかかった青ゴブリンでも厳しい世界みたいだ。

 人間は青スケルトンに変化させるが武器がないので待機、オークとアント集団をアントの巣へと進ませる。


 回収したアントの魂で成長した私の魔力製造スピードは上がり、眷属製造は加速、アントの巣のマザーを回収した。


 人間の軍が私を滅ぼしにやってくる。

 マザー50体が卵を産み、産まれたベビーアントは魔力を糧に成長する。眷属生産よりは弱いが数の増えかたは異常だろう。私はマザーを作り、軍が来るまで待ち構えるだけ。


 入り口の先を広い空間に変更し、成長したアントの巣を地中に配置する。地上はゴブリンとウルフで待ち構える。


 少数の集団が中へ入りゴブリンを確認して戻っていく。軍の半分が狭い入口からぞろぞろと入って来た。


 入口そばから穴を開けてアントが軍が出れない様に塞ぎ、攻めさせる。


 奥に進む精鋭は次の迷宮で迷ってもらう。後衛が潰された後は余裕だ。


 次は外の軍を攻めさせる。魔法使いの素体をベースにリッチを作成していく。死体はアントの餌にする。


 倒した人間から流れ込む魂を喰らい、不要な魔力結晶を隣の部屋に積んでおく。

 魔力結晶を杖に付けてリッチに持たしてみようか。


 魂の回収が早くなった。リッチの杖を使い捨てにした集団魔法の個人使用によって結界の無い町はどんどん消え去った。


 ドラゴンも回収した。リッチの魔法ですら耐える力は生物の頂点であろう。しかし、回収すれば一段階上の複製ができる。

 青いドラゴンの集団に世界は焼き滅ぼされた。

 魂が回収されなくなって久しい。そろそろ次の世界に行くとしよう。


 私が解放されると信じて。


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