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Dread Blood  作者: 秋月紅葉
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プロローグ

朝は子供達や鳥、虫の声が絶えないこの場所、そう、入江旭(いりえあさひ)村。


壮大な山々に囲まれ、自然溢れるこの村にいると、都会の騒々しさを忘れてしまう。


というより、僕はこの村に住みっぱなしなんだけどね。




僕はこの村の医者、千葉秀敏(ちばひでとし)です。


まぁ医者といっても、とても小さな診療所の医者にすぎませんけどね。


そして僕はまだ27歳といった、まだまだ未熟な医者です。


医療免許を取得しているだけ良いんですけどね(笑)




ここはのどかな村です。大きな手術なども、特に無いですからね。


お年寄りの方々も、子供達もみんな健康的で、重病を宣告した記憶も無い。凄いことだ。




今日も何事も無く1日が始まるのかと思っていた。…違った。僕のもとに一通の電話が届いた。


声の主はまさしくさなえさんだ。ずっと逢いたかった想い人の、松木(まつき)さなえさんじゃないか!


僕は飛び上がって喜んだ。さなえさんがなんと今日、帰ってくるからだ。




さなえさんは都会で画家として活動している。


風景画でこの村を題材にするらしく、しばらく村に帰郷するらしい。


僕には朗報だ。ずっと逢いたかったあの子に逢えるから。




小さい頃、彼女と家が近かったから、よく遊んでいた。


夜まで連れ回して、村中という大規模な騒動まで巻き起こしたこともあったっけ。


今となれば恥ずかしい思い出だ。思い出すだけでも顔が紅潮する。


けれど、彼女の無邪気な笑顔がまた見れると思うと、胸が弾む。


よし、今日は浮かれすぎないようにしよう。患者さんに間違えて変な薬を出してしまいそうだ。




夕方、郊外の駅に車を走らせた。さなえさんを迎えに行くためだ。


お生憎、入江旭村はド田舎で交通機関が不便だ。


バスは1日に4度ほどしか来ない。しかも往復じゃない。


交通機関だけじゃない、電気や水道だってたまに怪しい。


蛇口を捻っても捻っても水が出ない。おかしいなと思って水道口を覗き込む。大量の水が顔面を直撃する。


眠い時は一気に目が覚めて便利だが、愛用の眼鏡が濡れて大惨事になるから注意しよう。


電気も電球が切れたのかと思い、近くの用品店から電球を買ってくる。


ブレーカーが落ちていただけという、僕の思い込みだった。


あの時ちゃんとブレーカーをチェックしていればと、後になってかなり悔やむ。


なんで僕ってこう、何処か抜けてるんだろう…あぁ、考えれば考えるほど悲しくなるからやめよう。


まぁ電気は僕の思い込みとかが多いけど、本当に落ちるときは村全体が停電になるから要注意だ。




駅に着くと、さなえさんがこっちに向かって手を振っていた。


あぁ、懐かしい笑顔だ。僕の愛しい人が目の前にいる。


僕は駆け出していった。愛しい人をこの両腕で抱きとめた。


さなえさんの顔が僕の胸中に隠れる。なんだか苦しそうだ。でもそれがなんだか可愛い。


さなえさんが僕を見上げる。ふふっと笑う。僕もつられて笑った。




帰りの車は最高に楽しかった。こんなに笑ったのは久しぶりと言うぐらいに。


君がいれば僕は何にもいらないよ。君だけをずっと見ていたい。君を僕のものにしたいくらいだ。


あぁ、絵が完成すればまた東京に戻ってしまうんだね。またここに住めばいいのにさ。そういう訳にもいかないんだよね…悲しくなった。




……さて、ここからが本題になる。


入江旭村は現在、怪奇現象に悩まされている。いや、現象ではない。事件に惑わされている。


そう、この話題がこの物語のメインとなる。……その名も、入江旭村腕なし連続虐殺事件。


毎晩、1人の村人が両腕を刈り取られ死亡する、残虐極まりない事件だ。


…犯人は誰なのか分からない。僕が検死などに関わっているため、僕を疑う村人も少なくは無い。


そんな中の出来事だった。村長がとうとう殺されたのだ。


死因は大量出血によるもの。この死に方で死ぬ人はみんなこれだ。




僕の疑いが一層強くなった。僕は犯人じゃない!決して!!


……誰も信じてくれなかった。さなえさん、君しか信じてくれる人がいないんだ。


僕は決めた。この奇怪な事件に立ち向かう、と。


警察とさなえさんは唯一僕を信じてくれている、大切な仲間。


他にも僕を信じてくれている村人がきっといるはずだ、きっと――――――。




血を、恐れるな。死を、恐れるな。目を、逸らすな。


闇の先には真実があるんだ!!


仲間と共に、答えを見つけ出す。この手で、あの時の平和なひと時をまた取り戻す!!


さぁ、光を…探せ。




入江旭村腕なし連続虐殺事件


(1978年8月13日〜29日)


恐怖の戦慄なる血が、惨劇という名の悪夢を呼び覚ます――――――。




Dread Blood ドレッド・ブラッド

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